【筑波乳業株式会社】食の安全とロスカットに貢献する乳製品やナッツ類の製造・加工メーカー

  • 設立   1941(昭和16)年12月12日
  • 事業内容 乳製品・ナッツ類の製造・加工、販売、(BtoB 向け商品)練乳類、喫茶・製菓材料類、乳酸菌飲料類、還元濃縮乳類、調製粉乳ソフトミックス類、キャラメル製品、粉末製品、杏仁製品、アーモンド類、(一般消費者向け商品)アーモンド飲料「濃いアーモンドミルク」シリーズ
    ※製品製造における全ラインでISO9001 を取得
    ※玉里工場乳品工場殺菌乳ライン、LL ラインでISO22000 およびFSSC22000 の認証を取得
  • 資本金  2 億4750 万円
  • 従業員  376名 ※ 2019(平成31)年4 月1日時点
  • 本社住所 茨城県石岡市泉町6 番1号
  • 電話番号 0299 – 24 – 2111
  • URL   http://www.tsukuba-milk.co.jp/

「誠実さ」をモットーに健康的な毎日を創造

茨城県石岡市に本社を置く筑波乳業は、昭和16年から乳製品の製造・加工を行っている。本社と茨城県小美玉市に工場を構えるほか、東京都、大阪府、宮城県、福岡県にも営業所・出張所を展開している。「誠実さ」をモットーとしている同社では、ISO9001、ISO22000、FSSC22000の認証取得をするなど食の安全性にも注力している。今回は代表取締役社長の梅澤弘氏や品質保証部副部長の廣瀬絵巨氏、総務部係長の真家慶子氏の3名のもとを訪ね、同社のこれまでとこれからについて話を聞いた。

BtoBからBtoC まで!たくさんのニーズに対応

代表取締役社長の梅澤弘氏

 まず、これまでの会社の歩みをご説明します。今から78年前(昭和16年12月12日)に、守山乳業株式会社の石岡工場として操業を開始し、68年前(昭和26年6月)、筑波乳業株式会社として分離独立しました。昭和48年2月玉里工場が操業開始し、翌3月に正栄食品工業株式会社と資本・業務提携を行い、正栄食品工業のグループ会社となりました。
 当社は牛乳販売を行っていましたが、その後製菓・製パン・乳業・飲料メーカー向けの原料用乳製品の加工製造に移行、レストランやカフェなど向けに業務用乳製品の製造も行っています。
 良質な原料と長年の研究ノウハウをもとに乳製品製造を続けてきましたが、平成12年6月、正栄食品工業が販売するナッツ類の加工工場を新設、操業を開始しました。
 平成26年には乳製品の品質管理体制とナッツ加工技術を合わせた当社で初めての一般消費者向け商品といえる「濃いアーモンドミルク」の製造販売を開始。今ではBtoB からBtoC まで、幅広い商品展開をしています。

生乳ロスを防ぐのは、酪農家の苦労をムダにしたくないから

 みなさんは国内で生産されている生乳量がどのくらいかご存知でしょうか?農林水産省の調査によれば、平成29年度の生乳生産量は約729 万トン。平成20年度時点では約794.5 万トンだったので、減少傾向にあると言えます。この原因の一つとして、酪農における後継者不足が挙げられます。酪農は牛などを扱うので、生き物の調子が悪いと夜遅くまで作業せざるを得ません。定期的な休みもないので、労働環境としてはなかなか厳しいところがあります。
 さらに、生乳は長期保存ができないため、スーパーなどで購入されなかった場合は廃棄しなくてはなりません。たくさんの時間と手間をかけて酪農家の方が生産した生乳をムダにはできません。当社では全国農業協同組合連合会(JA全農)に協力して、余った生乳を長期保存できる脱脂粉乳とバターなどに加工しています。食料のロスをなくすためです。
 当社が保有できる生乳量は、小美玉市にある玉里工場のタンクだけで約1, 000トン。スーパーなどで売られている家庭用無塩バター450gに換算すると、約9万個~10万個は製造できる生乳量です。主力事業としてこうした活動を行っているのは、東日本エリアでは当社だけ。酪農家の方々の苦労をムダにしないためにも、この生乳の需給調整の取り組みはこれからも続けていきます。

大震災で訪れた冬の時代を、誠実さで乗り越える

放射能測定風景

 食料ロスを防ぐ他、当社では安心安全に配慮した商品作りを行っています。平成23年3月11日に宮城県・福島県・茨城県沖で発生した東日本大震災は記憶に新しいですが、同時に福島第一原子力発電所でも事故がありました。商品の安全性に自信があった当社ですが、「放射能の影響があるのでは?」との風評被害に遭いました。「ウチの商品は安全です。だから買ってください」といくら説明しても、なかなか信用されるものではなく、放射線検査を徹底的に行い、検査データを正直に提示して安全性を説く以外にないと覚悟しました。大震災後、製造再開当初から全ての原材料、全製品の製造ロット、製造ラインの洗浄に使う洗浄水など、製品製造に直接関わる箇所の他、排水溝、工場屋根の雨樋、工場敷地内の土壌、周辺の里山の木々まで、ありとあらゆる場所の放射線を外部の公的機関に依頼して調べました。同時に2000 万円以上する放射能検査機器導入を決め、アメリカから輸入しました。同年7月末やっと玉里工場の品質保証課に設置できました。それまでの間は毎月1, 500 ~ 2, 000 万円の検査費用が掛かりました。自社の検査だけでは信憑性に欠けると判断し、検査機器導入後1ヶ月間、自社の検査データと第三者機関のニュートラルな検査データとの整合性を確認し、その後も定期的に確認を続けており、信憑性の高さを裏付けています。不安を抱いておられるお客様には、私自身が直接お伺いして当社の姿勢を説明しました。ほとんどのお客様にご理解いただけましたが、現在もなお、不安を抱かれているお客様もいるのは事実です。これからも誠実な対応を続けていく所存です。「筑波乳業さんなら安心だよね」と思っていただけるようになることが、私たちの目標です。

充実の研修で社内の意思統一を図る

 筑波乳業では平成16年にISO9001を、平成24 年にはISO22000およびFSSC22000の取得をしています。これらは一貫した製品・サービスの提供ができているか、消費者に向けて安全な食品を届けるためのマネジメントシステムが機能しているかを証明する規格のこと。規格を認証取得するためには厳しい審査を通過しなくてはなりませんが、その後も定期的な審査があるため、会社が規格認証を維持し続けることは「ウチの商品は安全であり、しっかりとした管理体制がある」という証明になります。
 放射線量調査も、規格の認証取得も、「お客さまに対して誠実であるため」の取り組みですが、こうした企業のあり方は社内全体にしっかりと伝える必要があります。そこで、ISO やFSSC の概要を学ぶISO / FSSC 研修や、月一回外部から講師の方をお招きして工場の自主保全について考えるTPM 活動などを実施。安全性の高い商品・サービスを提供することの重要性や、社員のマネジメントをきちんと行えるようにすることの大切さを伝えることで、社内の意思統一を図っています。
 まだ社会に出たばかりの新入社員には、約2週間の新入社員研修を行っています。会社の概要や商品について簡単に学んだ後、それぞれが各工場や開発部や営業部などの各部署へと配属。その半年後に工場研修を6カ月間受けてもらいますが、これは、製造ラインで実際に手を動かすことで、商品ができる仕組みを学んでもらうのがねらいです。昨年の4月からは各部署を5~7年単位で異動させるジョブローテーションも採用して、より広い視野で顧客満足度の向上を目指すジェネラリストの育成にも力を入れています。

時代の流れに沿ったワークライフバランスの実現を

 話は逸れますが、みなさんは就職や転職を考えた時にどのような基準で企業を選びますか?色々な希望があると思いますが、ワークライフバランスがしっかりと保てるかは働く上で重要なファクターではないでしょうか。当社は平成30年時点で平均勤続年数が17年、大卒採用者の3年未満の退職者はゼロ、年間平均有給取得日数は12日と、腰を据えて長く働ける環境です。県内食品メーカーで最初に「くるみんマーク」を取得した企業ということもあり、女性が5年後、10年後のキャリアプランをきちんと描けるようにもしていますね。分娩休暇、育児休業、育児短時間勤務制度など、仕事と家庭の両立をサポートしたことで、出産を理由に退職する女性社員数はゼロ。育児休業取得率も100%と、女性の活躍を応援できる職場になっています。平成9年以降、共働き世帯数が夫婦のどちらか一方のみが働いている世帯の数を超えましたが、こうした時代だからこそ適した職場環境を提供していくことはとても重要。お客様からの多様な要望に応えるように、働く方の気持ちに寄り添った経営も心がけています。

活躍する社員

社員インタビュー・品質保証部副部長廣瀬絵巨さん
子育てへの理解があるから頑張れる

品質保証部副部長の廣瀬 絵巨さん

 地元の青森県から大学進学のために茨城県へ。専攻した微生物学の知識を活かしたいと考えて、筑波乳業に入社しました。私はここで3回の育休産休を取得して、今では品質保証部の副部長として働いています。出産による退職者がゼロ、育児休業取得率100%という環境なので、上司も同僚も子育てへの理解が強いと感じますね。子どもの熱が出たり、学校行事に参加したりする時も遠慮無く相談できるので助かっています。

社員インタビュー・総務部係長真家慶子さん
社員の頑張りはきちんと応援したい

 社員同士の距離が近く、入社年数や年齢の垣根を越えて頑張れる職場です。開発部の方が営業に同行して商談を行うこともあり、協力して仕事ができます。ボイラー・圧力容器資格、公害防止管理者など、業務上必要とされる国家資格、各種免許、技能資格等の取得については会社が費用を負担。頑張りを応援する会社なので「業務知識を深めたい!」と、育休中にISO9001、ISO22000の審査員資格を取得した社員もいるくらいです。これまでは企業からのご要望をもとに商品開発を行う受託販売が中心でしたが、今後は各部署にいる従業員と協力しつつ自社ブランド商品の開発にも努めたいと思っています。当社は乳製品を多く扱っています。子どもから大人まで愛される商品を提供できるように、食の安全性に配慮して前進を続けたいと思います。

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