【大鵬薬品】「すべきこと」を社員目線で追い求め、形にしていく

医薬品メーカーとして健康経営に力を入れている大鵬薬品。人事部健康支援課では、医療職(保健師・看護師)や相談員などの専門知識のあるメンバーが中心となってさまざまな施策を行っています。

大鵬薬品の健康経営チームメンバー

人事部 健康支援課 担当部長 産業カウンセラー 原田直尚さん

健康経営を戦略的に推進するにあたっては、会社の健康課題を社員一人ひとりが理解し、各施策の意味をストーリーとして理解してもらうことを目指しています。健康支援課という看板を掲げることは、社内外に健康経営に対する当社の姿勢を示すうえで意味のあることだと思っています。

人事部 健康支援課 課長 産業カウンセラー 末成美奈子さん

健康支援課の医療職メンバー(保健師・看護師)と、相談員メンバー(産業カウンセラーなど)とともに、社員の健康支援と全社の健康経営施策を推進することで、一人ひとりが健やかに活躍できるような職場環境づくりをしていきたいと思っています。

※インタビューは感染防止対策に注意を払って行われ、写真撮影時のみマスクを外しています。

大鵬薬品はこんな会社!

創薬から製造・販売までを担う製薬企業です。事業内容は、医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業の二本柱。医療用医薬品事業ではがん分野に強みを持ち、日本発の経口抗がん剤で世界90カ国以上に貢献しています。コンシューマーヘルスケア事業では、チオビタシリーズやソルマックシリーズなどの製品を通じ、生活者の健康を支えています。2021年9月には「笑顔の発信源になるオフィス」をコンセプトとする新社屋が完成。社員と経営層それぞれがエンゲージメント高く、健康に笑顔で働ける場所をイメージしたオフィスづくりがなされています。

社員の健康維持が企業活動の推進力になる

がん領域を中心とする医療用医薬品事業と、チオビタなどを扱うコンシューマーヘルスケアの2つの事業を軸とする大鵬薬品。1960年代より抗がん剤の開発をはじめ、経口抗がん剤のパイオニアとしてグローバルに事業を展開しています。

同社では、「私たちは人びとの健康を高め 満ち足りた笑顔あふれる 社会づくりに貢献します。」という企業理念を掲げています。なかでも特に重要なキーワードが「笑顔」です。

「医薬品事業を通じて患者さんやそのご家族に貢献し、笑顔に満ちた社会をつくっていきたいというのが当社の理念です。がんに罹患すると誰でも不安でいっぱいになるものです。そういった方たちに笑顔のある日常を取り戻して欲しいという思いを強く持っています」。

そう語るのは、人事部健康支援課担当部長の原田直尚さん。さらに同課長の末成美奈子さんは、「抗がん剤を扱うメーカーとして、多くの方々を笑顔にするためには、まずは社員とそのご家族の健康を支援することからであると感じています」と、健康経営の重要性を話してくれました。

「社風としては人にやさしく温かい、アットホームな会社だと思います。入社前に感じた温かな雰囲気は、入社しても変わらないと言う社員が多いことも特徴です」と語る末成さん(左)。

「健康経営」という言葉が世の中で聞かれる前から社員目線で健康施策を行ってきた同社ですが、2017年に健康宣言を表明し、2020年には健康経営を推進する部署として健康支援課を設立。健康経営の推進力が加速していきます。健康経営を中心となって推進する部署ができた意義について、末成さんは次のように語ります。

「健康支援課ができる前から人事部として医療職やカウンセリングの有資格者は充実していましたが、そういった専門性を有したメンバーで組織されたことで、情報共有がスムーズにできるようになり、より手厚く社員をサポートできるようになったと思います」。

原田さんも、「健康という名のついた課ができたことで、健康に関することで悩んでいる社員が相談しやすくなったと思います。また、企業として健康経営に真正面から向き合う覚悟を示すことにもつながっていると思います」と話してくれました。

健康支援課に在籍するメンバーは10名。保健師や看護師、キャリアカウンセラーや産業カウンセラーが在籍し、万全の態勢で社員の健康維持・増進に力を尽くしています。

同社は、2018年、2019年、2021年に「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されていますが、原田さんも末成さんも「認定されるために特別なことをしてきたわけではなく、これまでも社員目線で健康施策を実施してきた結果が評価されたと認識しています」と、口を揃えます。

「健康経営優良法人に関しては、当社の健康経営が時代に合ったレベルにあるのかを確認するとてもよい機会ととらえています。また、年ごとに基準となる項目の内容が変わるため、世の中がどのような方向に向かっているのかを把握するよい機会にもなっています」(原田さん)。

「今でこそ社会的にがん患者さんに対する就労支援が広まりつつありますが、当社では以前から就業規則にがん患者さんの就労支援を盛り込むなど、社員のみなさんに細やかなサポートをしてきました。そういった実績が認定につながっているのかもしれません」(末成さん)。

禁煙外来と人間ドックの費用を補助

健康経営を進めるにあたり、がん領域を主要事業とする同社にとって不可分となるのが禁煙・卒煙対策です。ここ10年、同社の喫煙率はなだらかな減少傾向にありましたが、さらに取り組みを加速すべく、2020年に「2023年喫煙率ゼロ」宣言を表明しました。

「長きにわたりがんに関連する医薬品を生業にしてきた企業の社員が、がんに対するリスクが明らかとなっている喫煙をいつまでもしているのはいかがなものかということで、近年は社員の卒煙サポートに一層力を入れています。その結果、2020年に15%であった喫煙率が、翌年には9%にまで下がりました」(末成さん)。

具体的な支援策のひとつとしては、禁煙外来費用の補助があります。保険診療で卒煙できた場合は自己負担分を全額補助するほか、会社指定のオンライン禁煙外来を自己負担1万円のみで受診可能としています。それ以外にも、卒煙成功者の情報共有、就業時間内の禁煙の徹底、新規採用・役職任命時に非喫煙者であることを要件とするといった対策を実施。2020年にはオンライン禁煙外来および訪問型禁煙外来あわせて成功率80%という結果を含め、この1年間で143名が卒煙に成功しています。

補助が手厚いのは人間ドックも同様です。抗がん剤メーカーとして社員のがんの早期発見・早期治療を目指すべく、30歳以上を対象に人間ドックを推奨しています。6万円を上限と定めて費用を補助しています。その効果もあって受診率は年々上がっており、2020年度における40歳以上の社員の受診率は、新型コロナウイルス流行下においても69%でした。この数字から、製薬企業ならではの健康意識の高さがうかがえます。ちなみに、定期健診の受診率は100%を達成しています。

コロナ禍においては早々にワクチンの職域接種を決断。1カ月に満たないタイトな準備期間でしたが、各部署の協力もあって実施することができました。対象者に社員の家族を含めたことについて末成さんは、「新型コロナウイルスは、誰がいつ罹患してもおかしくない状況ですので、大切なご家族のためにも、会社としてできることをしましょう、と。

当社の『すべきこと』を追い求める社風が反映された結果だと思います」と振り返ってくれました。さらに原田さんは続けます。「短い準備期間でしたが、それをやり遂げることができたのも団結力あってのことであり、大鵬薬品という会社を語るうえで外せない一面だと感じています。職域接種という機会を通じて、多くのご家族のみなさんに直接貢献することができたことを、一同本当に嬉しく思っています。社員からも直接お礼を言われることもあり、報われたという気持ちでいっぱいでした」。

コロナ禍の対策としてもうひとつ取り上げたい施策が、運動支援アプリの導入です。法人としてアプリを契約し、社員が自由に利用できる仕組みを整えました。

2021年5月には、運動支援アプリを活用した社内イベントとして「ニュースタイル運動会」を開催。社員の約60%が参加し、部門と個人でアプリの利用回数を競い合いました。今後もイベントを継続し、リモートワーク中でも多くの社員が運動を習慣化してくれるような取り組みを実施していく予定です。

健康施策をストーリー化して全社で意識を共有

休憩や仕事、打合せなどに自由に利用できる新社屋のカフェスペース「4527(よこづな)ラウンジ」。従業員同士のコミュニケーションの場として機能しています。

多岐にわたる健康施策を行っている同社ですが、今後の展望は明確です。

「健康経営は会社側だけが行うものではなく、社員一人ひとりが自主的かつ積極的に参加していただかないと目指す目標を実現することができません。今後も私たちが中心となって戦略をストーリー化し、社員およびそのご家族のみなさんにもご理解いただくとともに、積極的に各種取り組みに参加いただくことが重要です」(原田さん)。

原田さんの言葉に末成さんも深く頷き、「一人ひとりが自分の健康を見つめ直して行動する、そういった施策を今後も取り入れていきたいと思っています」と、語ってくれました。積極的に健康経営に取り組む大鵬薬品。入社することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

「自身が健康であるということは、笑顔で毎日を過ごせることに通じ、また事業を通じて多くの人びとの健康に貢献できることにも通じます。メリットという言葉を使うとやや打算的になってしまいますが、それこそが当社の存在意義なのかもしれません」(末成さん)。

最後に、大鵬薬品で求める理想的な人物像をうかがいました。

「生命関連企業という視点からは、患者さんファーストで物事を考えられる姿勢が重要です。具体的には自ら学び、挑戦し、主体的に行動できる人を求めています。業務内容は多岐にわたり、若いうちから責任のある仕事を任せられることもあります。

専門性を獲得しながら、幅広い業務に携わり、活躍することができると思います。志を同じくするみなさんをお待ちしています!」(原田さん)。

設立:1963年6月1日
事業内容:医薬品、医薬部外品、医療機器、食料品、日用品雑貨などの製造、販売および輸出入
資本金:2億円
従業員数:2,246名(2020年12月31日現在)

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