【慶美会】職員が健康で安心して仕事ができる仕組みづくりを大切にしています

  • 創業 昭和57年6月
  • 事業内容 特別養護老人ホーム、ショートステイ、ケアハウス、通所介護、訪問介護、訪問入浴、居宅介護支援、地域包括支援センター、配食サービス
  • 資本金 社会福祉法人のためなし
  • 売上髙 51億円(2017年5月実績)
  • 従業員 1128名:男性334名・女性794名(うち、正職員660名・2018年8月現在)
  • 本社住所 千葉県市川市柏井町4-314
  • 電話番号 047-337-1231
  • URL http://care-net.biz/12/keibikai/

日本の75歳以上の人口は1641万人で総人口の12・9%を占める。人数と割合はこの先も年々増えていき、2050年には2385万人(24・6%)に達するとされている(内閣府「平成28年版高齢社会白書」より)。実に4人に1人が後期高齢者となる時代、生活や介護の支援が必要となった人をどう支えていくか―家族はもちろん、国や自治体や地域社会が皆で考え、取り組んでいく必要がある。その中核となるのが社会福祉施設であり、そこで働くプロの職員である。市川市・鎌ケ谷市・習志野市で20施設・事業所を運営する社会福祉法人・慶美会の桑原経子理事長と桑原良成副理事長、新卒採用担当の古屋智隆人事部長に、習志野市の特別養護老人ホーム「サンクレール谷津」を案内していただきながら、慶美会の人材についての考え方や、勤務する職員への様々な取り組みの内容について聞いた。

職員が健康で安心して仕事ができる仕組みづくりを大切にしています

弊法人の設立は昭和57年、市川市に特別養護老人ホーム(以下、特養)「清山荘」を作ったのが最初です。この施設は市川市で初めて建設された特養でした。第二次ベビーブームの直後で、まだ介護問題はそれほど深刻ではありませんでした。
慶美会を設立した先々代の理事長は、第二次ベビーブームの人口構成が推移し将来的に高齢者が増加し、福祉サービスのニーズが増えることを想定して、まずは、50床の特養と10床のショートステイから始めました。

チャレンジの連続、試行錯誤の日々。

「清山荘」でのノウハウを生かし、平成元年に今度は、鎌ケ谷市で初めて建設された特養「慈祐苑」を作りました。
3施設目となった市川市の「ナーシングホーム市川」(平成9年設立)は、多床室型(相部屋)と個室が混在し、当時の特養の中でも珍しい作りでした。今から三十数年前の特養は、多床室型が主となっていたことが理由です。ところが弊法人は、「全室個室で特養を作りたい」と申請を致しました。平成17年頃にはユニット型という全室個室型の特養が主流となりますが、平成9年当時では、「時期尚早」だったようです。せっかちでしたね(笑)。
こうしたエピソードからも弊法人が、現在福祉サービスがないところでサービスができないか、ニーズを予測して、どのように形にすることができるかを試行錯誤していたことが、一部ですがおわかりいただけると思います。

まず介護に従事する人が幸せでなければならない

弊法人は「すべてのお客様に明るく健康で豊かな生活を」を理念としています。そしてそれをまず介護に従事する人が、実践することを何より大切と考えています。職員の皆さんが仕事に疲れ悩みを抱えていたら、利用者の皆様に良いサービスは提供できません。
介護というと、どうしても食事・入浴・排泄のお世話ばかりと思われがちです。しかし本当に大切なのは、それに付随した時間であったり、それに関連した生活のリズムであったりするのです。お客様の長年の習慣やちょっとした会話からヒントを得て、どうしたら生活の質の向上を図っていただけるかを考えるには、現場で勤務する職員さんに心の余裕がなくては難しいでしょう。
ですから私たちはいかに働きやすい職場環境を提供できるかを考え、現場の声を丁寧に聞きながら仕組みを作り、改善しています。
たとえば、私たちは全施設全職員の夜勤回数をweb勤怠管理システムにて常時把握しています。特定の職員さんに過度な負担がかからないようにするためです。勤務シフトに関しても上長がどのようにマネジメントしているか、同じシステムで確認しています。人出が足りなければ、他の施設から応援に行きます。そうした対応ができるのも、4つの特養が隣り合い、その施設の500名の介護職員が助け合っている弊法人ならではの強みだと思います。
新入職員の皆さんには、「現場に出たら日々の実践で覚えてほしい」というやり方はしていません。新入職員研修では、介護技術研修よりも先に、ロールプレイング形式で職場内でのコミュニケーションの取り方を学びます。いきなり現場に配属され「飛び交う専門用語が理解できずどう動いていいかわからなかった」ということがないように配慮しています。
夜間は日中に比べて職員の数が減りますが、サンクレール谷津では、先輩職員とインカムで会話ができるので、夜間でも誰かとつながっている安心感があり、夜勤時の不安を和らげています。こうした体制や仕組みはいずれも現場の声を聞きながら作ってきたものです。


スキルアップを目指す人は法人を挙げて応援

資格を取得したい人は、弊法人が全力でバックアップします。
たとえば「介護福祉士」の取得前に必要な、実務者研修を法人が独自に開催し、その研修費用を法人が全額負担しています。また「介護教育指導員」という、20年以上介護福祉士の試験官経験のある職員が、研修専門のスタッフとして在籍し、予行演習や模擬試験などでサポートします。現在は大学の「スクーリング」のように自由に講義に参加したり、Eラーニングでいつでも勉強できるような仕組みを作っているところです。
「ケアマネジャー」の資格取得を目指す人には〝ケアマネ応援隊〟の制度があります。ケアマネジャーの資格取得者が弊法人内でグループを作り、弊法人内の社内LAN環境を活用しながら、これから資格試験を受ける人に様々なアドバイスやサポートをしています。実際、昨年のケアマネジャー試験合格者は、多くが〝ケアマネ応援隊〟のサポートを受けた人でした。合格したい職員には心強い味方です。
一方で、人生は仕事ばかりではありません。子育てがあったり親御さんの介護があったり、家族の転勤で職場を離れることもあるでしょう。そうした時にも弊法人は、できる限りのサポートをしたいと思っています。
たとえば、育児のための短時間勤務制度は、職員のお子様が小学校1年生に上がるまで利用できます。介護の仕事はシフト勤務となりますが、職員が安定して在籍していなければ、育児の支援は現実的には難しいものです。弊法人では、夜勤も免除されながら正社員でいられますので、 ママさん職員からも、これからママさんになる職員からも好評をいただいております。
職員の皆さんに安心して長く勤めてもらえる制度づくりを進める一方で、ずっと弊法人で働かなくてはいけない…とも考えていません。人生における仕事のあり方、働き方はもっと多様であっていいと思うからです。長い人生の中で介護の仕事に携わってみようと思った時に、慶美会がその機会にご一緒できたらうれしいですし、慶美会で働いた経験がその後の人生に活きるものであれば、素晴らしいことだと思っています。
新卒採用では、福祉の勉強をしていない方、福祉系の学校を卒業していない方でも対象としています。高校、短大、大学、専門学校の新卒者はもちろんですが、第二新卒や未経験者の方もいます。慶美会で働く職員さんがお子さんに勧めてくださるケースや、新入社員のお母様が「私も慶美会で働きたい」と来てくださったこともあります。いろんな方がいろんなご縁で慶美会に来て、それぞれのライフスタイルに合わせて働いています。

地域とつながる介護施設でありたい

これまでもそうであったように、介護業界はこれからも時代に即した制度やサービスを模索していくことになるでしょう。
平成30年4月に完成した習志野市の「サンクレール谷津」は、京成本線谷津駅のほぼ駅前に位置しています。昭和の雰囲気が残る活気ある商店街もすぐ近くで、地域の雰囲気の一部に溶け込めるような特養でありたいと思っています。1階には地域交流スペースがあって、どなたでも気軽にランチやカフェとしてご利用をいただいています。
私たちがご提供するサービスが地域とつながり、必要な機能とされる…また、利便性の高い福祉サービスとして知っていただく機会が増えることにより、そこでいただいたご要望などから、また新しい機能が生まれる…そんなサイクルが実現したら、こんなにうれしいことはないですね。
年齢を重ねれば、誰もが助けを必要とします。それを負い目に感じて孤立させたり、抱え込ませてしまうのは、幸せな社会ではないでしょう。地域のお年寄りが必要なサポートを受けながら、明るく健康で豊かな生活を送っていただける仕組みを、職員の皆さんと一緒に作っていけたらと願っています。

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