【社会福祉法人泰仁会】利用者満足と職員の成長を作る社会福祉法人

  • 設立   1995(平成7年)1月9日
  • 事業内容 特別養護老人ホーム、グループホーム、デイサービス、ケアプランセンター、福祉サービス事業など
  • 資本金  社会福祉法人のため非公表
  • 従業員  約200名 ※2019(平成31)年4月1日時点
  • 本社住所 茨城県石岡市小倉442-1
  • 電話番号 0299-43-0811
  • URL   https://taijinkai.or.jp

利用者も職員も、充実した日々を送れる職場

約800 万人の団塊世代が後期高齢者を迎える2025 年問題など、介護職の需要が増していく一方、労働条件等のマイナスイメージもあり、介護従事者の人手が不足している。そんな中、介護サービスを運営する社会福祉法人泰仁会では、職員たちがキャリアを積みながらも無理なく生き生きと働ける職場を作っている。そこには、どんな思いと取り組みがあるのだろうか。泰仁会理事・施設長の永山直人氏はじめ、現場の職員たちに話を聞いた。

医療・福祉サービスを通して、地域社会に貢献

理事・施設長の永山 直人氏

 泰仁会では、社会福祉法人として、特別養護老人ホーム、グループホーム、デイサービス、ケアプランセンター、ケアハウス・小規模多機能型居宅介護事業所などを運営しています。平成7年から法人認可を受け、石岡市、茨城町で事業展開しています。
 事業運営にあたっては、(施設が)「あって良かった」、(職員が)「いて良かった」をメインテーマとした五ヶ条の経営理念を掲げ、常に実践できるよう心がけています。毎年度の初めには、全職員が参加する講義も行っていて、しっかりと講義レポートを書いてもらい、職員たちに経営理念が浸透しているかどうかも確認しています。
 当法人の事業が始まった平成7年頃は、介護事業は行政の措置として入居者様や利用者様をお預かりする時代で、そのときは、利用者様が事業所を選ぶことができませんでした。
 しかし平成12年に介護保険法が施行されてからは、利用者様が直接施設を選び、施設と直接契約を結んでサービスを利用するという時代になっています。そのため、当法人もお客様に選ばれる事業所になるため施設ごとに地域や利用者様の状況をふまえたイベントや、外出、音楽療法、レクリエーションなど、アクティビティの要素も充実させるなど、お客様に選ばれ最適なサービスを提供できる事業所になるため、利用者様の満足を第一に考えた運営を行っています。

研修と教育を通して、幅広い世代が活躍できる現場

研修風景

 当法人では、職員を人「財」として考えています。職員を大切に育て個々の能力を高め人間性を豊かに育めるよう、新しく入職した方には、経験者、未経験者問わず、しっかりと教育や研修を行っています。
 新規採用者に対しては約2週間、講義やワーク形式による研修を行っています。カリキュラムは法人の理念や事業の歴史、倫理、生活支援技術、認知症に関する知識など、利用者様の生活支援に関するものから、基礎的な感染症、接遇など。また実際に利用者様の立場となり施設内で過ごす擬似体験も行っています。一通りの研修を行った後に現場に入ってもらい、施設ごとの方針を伝えながらOJTでしっかりと学んでもらっています。職員への教育は、チューター制を導入し1年間しっかりと指導職員による直接指導でサポート。また、指導方法の改善や伸ばすべき能力を把握するために、「育成ノート」を作成しています。現場でのOJTだけでなく、グループ全体での階層別研修も行っています。例えば、初級の方には、経営理念をしっかり学んでもらいますし、次の階層になると現場の接遇についても深く学びます。一般職員だけでなく、課長クラスや経営陣も研修を受講。階層ごとに必要な研修内容を考え、常に学んでいます。
 職員が発表者として事例を発表することもあります。発表者が準備を行いながら、自分の仕事を振り返っていく機会になり、上司や先輩が原稿のチェックを行うといったサポートも行うので、発表者以外も自分の仕事を振り返る機会になっていると思います。
 採用する職員の年齢も幅広く、今働いている職員の平均年齢は、44.8歳で、20代、30代の職員も多いです。EPA(経済連携協定)の取り組みにも参加していて、フィリピンやインドネシアから入職した方が、現在18名働いています。イベントの時などは彼らが母国の料理を作ってくれることもあり、利用者様にも喜んでいただいていますね。

独自制度による、職員一人ひとりが活躍できる環境づくり

納涼祭の様子

 当社でワークライフバランス支援の取り組みが始まったのは、開設して3、4年経った頃。若手職員たちが結婚して出産した頃、地域に子供を預ける場所が無く、職場復帰できないというスタッフからの相談を受けたことから始まりました。平成15年に事業所内託児所「こぎつねの郷」をオープン。さらに、小さな子供をもつ職員も多かったので、法人内で独自に子育て支援に関する制度を設けていきました。
 また、全職員に向けたワークライフバランス支援を開始。「働きやすい職場 働き続けられる職場 やりがいのある職場」をスローガンとした独自制度の制定と推進に取り組んでいます。
 平成29年には、ワークライフバランス支援の取り組みを「ワークライフマネジメント」という名称とし、職員成長のための経営戦略として位置づけました。それまでは、ワークライフマネジメント推進担当が中心となり進めていましたが、現在では、職員全体の意識を向上させるために「ワークライフマネジメント推進会議」を立ち上げ、学びの場、情報共有の場を設けています。実際の取り組みとしては、育児休業期間を「原則として、子どもが2歳に達するまで」とし、期間内であれば複数回の取得も可能。現在は女性職員の育児休業取得率は100%、男性職員も法人内で10名程度取得しています。
 他にも、有給休暇の取得促進も行ってきました。現在、「有給休暇取得率85%」を目標にしており、それを達成するため有休を取得しやすくなるような工夫を現場ごとで考えたり、職員たちが円滑に有給を取得していける環境づくりにも取り組んでいます。
 こうした独自の取り組みが徐々に認められ、「男と女・ハーモニー功労賞(平成21年)」「茨城県子育て応援企業 優秀賞(平成23年)」「くるみん認定(茨城県中小企業では初/平成23年)」「均等・両立推進企業表彰 ファミリーフレンドリー企業部門 茨城労働局長優良賞(平成25年)」の受賞や認定を受けることができました。

ここで働いていてよかった、と思える職場

 最近になって「働き方改革をしていこう」という言葉を聞くようにはなりましたが、弊社で行っている研修制度やワークライフマネジメント推進会議などは、働き方改革をするために行ってきたものではありません。泰仁会の中で働くことも、職員たちにとっては人生の一部。だからこそ、「ここで働いていてよかった」と思えるような場所にしていきたいと思い、制度作りをしてきました。
 介護についてあまり良いイメージを持たない方が多いですが、人を思いやる気持ちや誰かの助けになれる誇りある仕事であると考えています。これから当法人に入職したいと考えている方も「自分がこの先どうなりたいか」ということをしっかり意識していれば、研修や教育、ワークライフマネジメントの制度などを生かして、いきいきと活躍できるようになると思います。
 例えば、入職5年後には主任として高い専門性とマネジメントの基礎力をもった職員となっていただきたいと思います。10年後には十分な知識や技術、専門の資格をもった管理職のポジションとして、後輩職員や上司、部下からも信頼され、施設、法人の柱となってほしいですね。

活躍する職員

職員インタビュー・法人本部事務局総務課課長大塚由美さん
これからのニーズに応えていくため、様々な経験を持った方と働きたい

 地域に住む方々の温かさを感じられる職場で、地域の方の支えがあってこそだと思います。私たちができることは、介護を通して、地域の方々に恩返しをしていくこと。今まで介護職の経験をしたことが無い方でも、優しさと思いやりをもって、チャレンジしていただきたいです。

職員インタビュー・施設長髙城裕さん
多様な知識や経験、背景を持った人材と共につくっていきたい

 社会福祉法人には、国民や地域、社会に貢献していくという役割があるので、障がい者支援、大人の引きこもりの問題、待機児童問題など、地域や社会の様々なニーズに応えていかなくてはなりません。様々な方に入職していただき、こうした当法人の思いを共有していただいて、それぞれの個性の持つものを伸ばしながら事業に取り組んでいければと思っています。また、当法人は女性が活躍できる法人です。現在、大塚課長が経営に参画していますので、新女性職員が大塚課長のもとで経営を学べるという環境もあります。多様な知識や経験、背景を持った人材と共に、これからの泰仁会をつくっていきたいと思っています。

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