【藤沢市】株式会社分析屋

  • 設立 2011年8月15日
  • 事業内容 データ分析、システムインテグレーション、インバウンド/アウトバウンド 旅行業務 輸出入業務/海外事業支援
  • 資本金 1,000万円
  • 従業員 86名
  • 本社住所 神奈川県藤沢市藤沢484-1 藤沢アンバービル4階
  • 電話番号 0466-90-3288
  • URL http://analytics-jp.com/

インターネットやスマートフォンが普及した現在、多くのビジネスシーンではさまざまなデータが活用されている。企業などから依頼を受け、データを収集・分析し、施策につなげているのが、藤沢市にある「分析屋」である。社名は漢字、社内は暖簾や畳を使った和風インテリアというユニークな会社。その働き方や社風について、社長の廣川貴氏とライフサイエンス部兼人事部の大将(部長)上田篤志氏に聞いた。

データ分析で日本を元気に!
未来へ向かうタイムマシンで湘南から世界へ

「分析屋」という社名をつけたのには、2つの理由があります。2011年の創業当時は、「分析」はとても難解でコストがかかる敷居の高いものだと思われており、もっと身近に暖簾をくぐるような気軽さで利用していただきたかったから。また、もう一つの理由は、IT系企業によくあるカタカナの長い社名ではお客様に伝わりにくかったため、字面を見ただけで何をしている会社か伝わるシンプルな社名にしたかったからです。
分析屋のビジョンは「分析で日本を元気にする」です。そのためにデータ分析を活用したいと考えています。弊社には、マーケティングに必要な調査設計や効果測定などを行うマーケティング部、データマネジメントや分析モデル構築を行う分析部、臨床研究や論文作成支援、健康経営支援を行うライフサイエンス部の3部門があり、それぞれのプロジェクトごとに業務を行っています。

分析は「過去と未来を繋ぐタイムマシン」

データ分析はあらゆる業界でニーズがあります。例えば、マーケティングに関する調査・分析の場合。「ファンが増えない」という悩みを抱えているスポーツチームのお客様がいたとします。その解決に向けて分析屋では、そのチームのファンが望むサービスや、ファンクラブ入会のきっかけを調査します。
調査の結果、ファンが求めていたのは「選手との交流」ということがわかったとする。それをお客さまにフィードバックすれば、お客さまは新たなイベントなどを企画し、ファンを増やすことができます。
他には、ソーシャルゲームのシステムにも、分析を役立てることができます。ソーシャルゲームは、従来の家庭用据え置き機の販売ではできなかったリアルタイムな情報が収集できます。例えば、週のうち何曜日が最もログインされているのか、一日のうちで何時頃に課金や離脱をしたのかなど、詳細な情報が全てわかり、それらの情報を分析すれば、よりよいシステムを提供することができます。
ライフサイエンス部では、人の体や健康につながる分析をします。例えばウェアラブル機器などを用い、仕事の集中力や眠気などをデータとして可視化できれば、さまざまな商品やサービスの企画開発などに応用できるようになります。
私たちは分析を「過去と未来を繋ぐタイムマシン」だと考えています。
過去に遡ると、代表の廣川は若い頃、世間のマーケティング戦略に、見事に踊らされていました。流行りものが大好きで、洋服は全てインポートブランド、外食する時は当時流行し始めたイタ飯(イタリアン)ばかりで、「メイドインジャパンや定食屋はダサい」と思っていました。
その頃、多くの人が簡単・安心・便利な自分の利益ばかりを追い求め、こうした消費行動をした結果、現在はどんな未来がやってきたでしょうか? メイドインジャパンの製品が売れずに日本の製造業は衰退し、イタリアンにお客さまを取られた街の定食屋は閑古鳥が鳴いています。
しかし、過去の記録であるデータを分析をすることで、このような結果を予測し予防することが可能になります。もし、廣川が若い頃に「あなたがイタリア料理店ばかり行くと、定食屋が潰れるよ」と、誰かがデータに基づいて教えてくれていたら、「それは困る。おしゃれな店じゃないけど、アジの開きがうまいんだ」と気がつき、行動を変え、定食屋は今でも生き残っていたかもしれない。だから、分析はタイムマシンなんです。

地元が誇りの藤沢に本社。通勤のストレスなし

分析屋の本社が藤沢市にあるのは、廣川が学生時代から江の島が好きだったからです。藤沢には、なんともいえない良い空気感があります。地元の人が地元を誇りに思う「シビックプライド」が全国1位と高い地域で、その誇りが街の雰囲気を作っていると思います。
廣川自身は東京・世田谷生まれですが、社会人になってから藤沢に住み、独立前は当時の勤務先だった六本木まで通っていました。2011年8月に自宅のある藤沢で起業し、設立当初は「会社を大きくして、横浜や東京に移ろう」と考えていました。
しかしその後、採用面接の際に応募者から分析屋を選んだ理由を聞くと「家が近いから」という答えの人が多かったのです。廣川自身も「家族のそばにいたい」と思った事が起業理由のひとつでした。
さらに当時、弊社は地方創生プロジェクトに関わっており、東京一極集中を分散させなければと考えていました。このため、「このまま藤沢で会社を大きくしたら、藤沢の地方創生になるのでは?」と思い、本社を藤沢に置くことを決めたのです。
本社を東京に置くというのは、会社側の都合でしかありません。社員にとっては、家から近く、満員電車に乗る必要がない方がいい。通勤のストレスが減ることで、仕事に集中できて、アウトプットが良くなるなら、会社と社員がWin-Winになれます。社員の中には、弊社に入社するために、都内などから藤沢へ引っ越してくる人もいますよ。

分析の目的を引き出す「おもてなし力」を育成

分析というと、数字がたくさん並んで難しそうに見えると思います。もちろん、統計学はある程度必要ですが、深く研究するような知識ばかりが必須なのではありません。プロジェクトによって重視する能力は全く異なります。弊社ではIT関連だけではなく、マーケティング、経済学、地方創生など様々な知識を有した人たちが活躍しています。
分析屋の理念は「あなたの問題解決をする」です。お客さまが何を求めてデータ分析を依頼しているのかを引き出さなければ、全く違うアウトプットになってしまいます。分析をする目的を明確にしなければ、お客様が本当に求める結果を出すことはできません。それを引き出せる人材を育成したい。そのためには“お客様の業種や業態を理解する力”、“お客様の立場に寄り添える力”、“お客様の目的を明確にする力”という“おもてなし力”が大切になります。
おそらく10年後には、ボタン1つで簡単に分析ができる時代になるかもしれません。機械学習や人工知能といわれるものは、数値を入れれば、何かしら答えが返ってきます。でも、それをどう活かすのかが大事。ボタンに取って代わられる人材ではなく、「何のために分析をするのか」ということを明確にし、成果につながる提案が出来る人材であってほしいのです。
分析屋は、チャレンジ精神を評価する社風。誰でも自分で考えて動ける環境です。もし、失敗したとしても「失敗したという結果」については誰も叱りません。「次はどうする?」を見つければいい。そうやってチャレンジを繰り返し、原因を一つひとつ探る事でおもてなし力が育ちます。
実はこれは、分析と全く同じロジック。分析の結果、何かをしても、全てがうまくいくわけではありません。「なぜこうなったのか?」を、数字を見て考えることができれば、社員一人ひとりがAI時代でも生き残っていける“分析屋”になれると思います。

5つの目的に合わせ各人に働き方を

分析屋では「ダイバーシティ・マネジメント」を行っています。ダイバーシティというと、女性活用や外国人活用というイメージがありますが、それは当たり前のこと。弊社では、誰もが仕事に求めるものは次の5つと考え、それぞれの目的に合わせた働き方を提供しています。
1.お金 2.やりがい 3.仲間 4.時間 5.自由
一昔前は、働く目的のほとんどがお金と出世でした。でも今は、便利で裕福な時代になり、お金以外を目的とする人が増えてきました。例えば、主婦なら子育てや家事にかけられる「時間」がほしい。この場合、短時間勤務制度を利用していただくことでフルタイムの社員より給与は少なくなりますが、正社員としての安定と家族と過ごすための時間を確保していただくことが可能です。また、いろいろな業務に携わりたい、仕事上の自由がほしいという方には様々なプロジェクトや新規事業などに関わっていただくことで責任は重くなりますが、本人のポテンシャルと意欲を最も発揮していただける環境をご用意します。
人は、人生のフェーズにより、考え方や仕事の目的が変わります。であれば、会社は社員の皆さんに出来るおもてなしとしてさまざまなポジションや枠を用意し、各々に合わせて働いてもらえばいいのです。
分析屋のマネジメント方針は「禄寿応穏」です。これは、湘南発祥の北条家が掲げた領国経営の理念で、禄=民の財産、寿=民の生命で「民の財産と民の生命が常に安定するよう守るべし」という意味。500年以上前の大名で北条家二代目、北条氏綱公の言葉です。
彼は遺言で「剣が弱いからといって、切り捨ててはいけない。算術が得意かもしれない。人には各々の使い道があるから、その人たちをどれだけ使いこなすのかが大将の器」と後世に伝えました。
北条家は、決して戦に強かったわけではありません。しかし、武田信玄や上杉謙信などの強豪武将たちと対等に戦い、最後まで生き残りました。なぜなら、前述の理念に従って主君と領民が信頼関係で結ばれ、一致団結してこの地域を守ろうとしたからです。分析屋はこの精神を受け継ぎ、社員と会社で実現出来るよう挑戦しています。
また、高度経済成長期の日本では「ものづくりは人づくり」を合言葉に、会社が人を育て、育てられた人がいいものを作り、世界に誇るメイドインジャパンのブランドを築きました。そんな昔ながらの働き方と、今の働き方の良いところをそれぞれ活かしていけばいいのではないか。これが分析屋のマネジメントスタイルです。

愛国心を持ち「日本を元気に」新規事業も開始

現在、分析屋では「日本を元気にするために、もっと出来ることがあるのではないか」と考え、新たな事業として、旅行に関する事業を始めました。日本は少子化が進んでいるので、今後はどの業界も売上が減っていくでしょう。そんな日本を救うのは、観光と輸出しかありません。
訪日外国人観光客の中でも、欧米やアジアからの観光客についてのデータはすでにたくさんあります。今後は、中東の富裕層などに来日していただき、世界一のおもてなしを体験してもらえるようにしたいのですが、彼らがいま何を求めて日本に来て、どんなことを望んでいるのかというデータがまだ十分にありません。そのデータを集めて、分析したいと考えています。
分析屋が新卒採用する際に重要視しているのは、母国である日本を元気にしたいという想いがあるかどうかです。国を愛せない人は、自分が所属する地域や会社、家族などのコミュニティも愛することはできないのではないでしょうか。長い社会人生活において、誰かのため、社会のために仕事をする以上、その想いは働くエネルギー源となり、皆さんの仕事に対する誇りになると思います。
就職活動する人たちに伝えたいのは、アメリカのケネディ大統領の「国があなたに何ができるかを問うのではなく、あなたが国に何ができるかを問うべきだ」という言葉です。
この言葉の「国」を「会社」に置き換えて考えてみてほしいのです。あなたが会社のために何ができるのかを自分で考えて、動いてほしい。失敗したら、次はどうするかを考えて動けば、必ず成長できます。それを楽しめる人にとって、分析屋は最高の会社だと思います。

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