【株式会社タウ】国内外で損害車の仕入・物流・販売ネットワークを構築し、業界トップシェア

  • 設立    1997年6月(創業1996年8月)
  • 事業内容  自動車・トラック、自動車パーツ、オイル等の買取、販売、輸出、オークション事業
  • 資本金   1億円
  • 従業員   474名(2018年9月末)
  • 本社住所  埼玉県さいたま市中央区新都心11-2 LAタワー10F
  • 電話番号  048-601-0823(人事部)
  • URL    https://www.tau.co.jp

日本では価値が低いものでも、海外では価値が高いものが、世の中にはたくさんある。実は、事故や災害によって損傷した車もそのひとつだ。さいたま市に本社を置く株式会社タウは、日本の損害車を買い取り、海外へ販売するリユースビジネスのパイオニア。世界へ広がる損害車ビジネスについて、同社の執行役員である 藤久拓也人事部長 (前ページ写真)から話を聞いた。

日本では、中古車の査定や買取はよく知られていますが、いわゆる事故車(損害車)は、修理費用が高ければ廃車にするという考え方が一般的です。しかし、海外には、壊れた車でも直して使うという国がたくさんあります。

当社は、日本のディーラーや損害保険会社などから損害車を買い取り、インターネット上でオークションにかけて、海外の修理工場などへ販売しています。現在、国内23か所、海外3か所の拠点を構え、独自のネットワークは世界119か国、12万社以上。この業界の市場規模は1000億円と算出されており、当社のシェアは約27%とトップです。

日本と新興国との「価値観のギャップ」つなぐ

海外は車社会の国が多い。日本の旧型車も整備や修理され、長く現役で活躍している。

テレビやインターネットなどで、海外の街を日本の旧型車が走っているのを見たことがある人もいると思います。当社の社員の中には、学生時代に東南アジアなどへ旅行に行き、日本の古い車が街を行き交う状況を見て、初めて日本の中古車や損害車が海外で活用されていることを知った人も少なくありません。実際に、当社のマーケットの約6割は海外で、取引先はアジアや中南米など新興国が多いです。

日本は最先端の技術を持っている国なので、車などは少し型が古くなると価値が下がったり、部品が生産されなくなって整備ができなくなったりします。一方、海外では、車や部品を生産する機械すらない国もある。そういう国では、日本で旧型と言われるものでも、十分に価値があります。

要らない人にとっては価値がないものでも、欲しい人にとっては価値がある。この「価値観のギャップ」をつなぐのが我々の仕事です。損害車だけではなく、フォークリフトやトラック、農機、医療機械なども取り扱っています。

最近の若者は、社会貢献についての感度が高く、地球環境についても関心が高い人が多いですね。当社のビジネスは、日本で廃車やスクラップになるようなものを、海外で再利用することになります。つまり、車をはじめとするモノの命を延命させることにより、新たな生産の抑制につながるのです。

また、不幸にして事故や災害によりダメージを受けた損害車は、それらを理由に手放す人が多いです。それを適正な価値で買い取ることができれば、被害に遭われて経済的損失を負われた方に、適切な金額を還元できます。

さらに、その車が海外で活用されれば、「新車や通常の中古車は高価で買えない」という経済的に厳しい人でも、損害車を修理した安価な車なら、買うことができるのです。

このように、当社のビジネスの根底には、常に「社会貢献」の四文字があります。そういう意味においても有意義であることを認めていただき「タウで働きたい」と言ってくれる方がいれば大歓迎です。

海外で飛び込み営業! 流通を変えたパイオニア

日本では価値が低い損害車も、海外では高値で取引され、修理して活用される

タウが創業した1996年頃の日本では、壊れた車は所有者がお金を払って処分することが主流でした。しかし、日本車は優れた性能を持っているので、当時から海外でとても人気がありました。海外では修復費用が安いので、修理すれば、もう一度使える車として復活する。そういうビジネスが当時からあったのです。

創業者の原田眞(現在は名誉会長)は、この会社を立ち上げる前、大手石油会社に勤務しており、アメリカ本社と折衝したり、国内のガソリンスタンドを回ったりしていました。仕事を通じて原田は、海外には壊れた車を修復するビジネスがあることを知ります。そして、日本で価値が低いとされる損害車を、海外の修復業者に直接販売するビジネスを発案しました。

こうして原田は、仲間と3人で会社を立ち上げました。しかし当初は、ディーラーや自動車関連工場へ行き、「損害車を高く買い取ります」といっても、なかなか売ってもらえませんでした。前述のように、「壊れた車は所有者がお金を払って処分」ということが当たり前だったからです。

原田たちがいかに健全で正しいビジネスをしているか、理解してもらうまでに長い時間がかかりました。少しずつ企業規模が大きくなり、社会的な信用が得られるようになってから、ようやく損害車を売ってもらえるようになりました。
海外の取引先開拓は、飛び込み営業でした。現地の港のモータープールへ行き、日本車を扱っている業者を見つけて「日本の損害車を買いませんか」と提案したのです。さらに、海外へ販売した損害車には「タウ」と書いたチラシを貼っておき、現地の業者がタウの社名を知るきっかけにしました。海外では、ラジオCMや道路沿いの看板などで宣伝したこともあるそうです。

創業時はPC「ウインドウズ95」が登場し、ようやくインターネットが一般的になり始めた時代です。原田は99年、ネットでの商品販売を目的として販売ウェブサイトを開発。ネット上に損害車の情報を掲載してオークションを行い、海外へ販売するという、現在のスタイルをスタート。当社のビジネスは、ネットの普及とともに世界中へ広げることができたのです。

全国に拠点23か所、本社では19か国語に対応

当社にはさまざまな仕事がありますが、最も重要なのは損害車などの売りと買いです。国内には23か所の拠点があり、営業マンが約150人います。
彼らはディーラー、損害保険会社等へ損害車買い取りの提案営業を行っています。損害車を買い取るというと、一見難しそうに思えますが、実はクルマ音痴や未経験の方でも、すぐに適正な買取価格を算出できるようになります。仕入れた車両については、販売サイトへ掲載する情報を入力し、販売の準備を終えるところまで担当します。

損害車などを売る方は、ネット上の販売店を担当し、海外の取引先とメールや電話でやり取りします。さいたま市にある本社には約180人が勤務しており、そのうち20人はロシア、中国、モンゴル、イラン、コロンビアなど出身の外国人です。サイトは日本語、英語、ロシア語、スペイン語の4か国語で表記。メールなどではアジア、中南米、ロシア、アフリカなど17か国語に対応しています。

当社ではネットオークションを行いますが、日本でもその年や時期によって車種の流行があるように、世界中でも地域によって、流行の車種が違います。また、工場によっても、修理する車種や部品などのノウハウに得手不得手があります。だから、価格に差が出て、その車が最も高く流通する地域の業者がオークションで落札することができるわけです。

海外の人にとっては関税の面でも、日本から中古車を買うより、損害車を買った方が安価に手に入ります。例えば日本で100万円の中古車を購入すれば、その金額に対する関税ですが、損害車を30万円で購入すれば、その金額に対する関税で済みます。そして、自国で直した方が安い。だから、海外からは損害車の方がニーズが高いのです。

「社員の幸福」も経営理念に

私が若い頃もそうだったのですが、学生や社会人経験が浅い人は、知名度の高さやイメージで就職先を選んでしまいがちです。でも、知名度の高さと、本人に合う会社かというのは別問題です。

現在、活躍している社員でも、就活時に会社説明会へ参加して、当社が業界シェアNo・1の実績を持つ安定した企業であることを初めて知り、入社した社員も少なくありません。外国語や貿易に興味がある人も多いですね。
会社を選ぶ時は、会社の規模や福利厚生等だけでなく、その会社が何をしているのか、よく見てほしいです。我々は、知名度の高い会社に負けないくらいの待遇と環境があると自負しています。

当社では経営理念に「社員の幸福」を掲げ、経済的な豊かさのみならず、心の豊かさをも提供できるよう努めています。男女ともに育児休暇、フレックス勤務、在宅勤務など、さまざまな制度を導入し、働きやすい職場づくりを推進しています。労働時間の短縮化にも努めており、タブレットやスマートフォンなどIT機器の活用の他、1年に1回、業務の棚卸しを行い、優先順位の低い業務や惰性で行っているムダな業務を減らしています。

これらの取り組みが認められ、経済産業省主催「新・ダイバーシティ経営企業100選」選出、埼玉県の「多様な働き方実践企業」認定制度のゴールド認定、埼玉県「働きがいのある会社」の優秀企業にも選定されています。

ダイバーシティを推進する当社にとって、さまざまな価値観を持った社員がともに理解しあって働くことは重要です。会社から、働くことの意義や価値観を押し付けることはありません。自分がなりたい将来像をイメージしてもらい、現在の自分に足りない資質・スキル等を気づかせていくという機会を、人事部から提供しています。自分の成長に向けた努力を惜しまないメンバーを、会社は評価します。努力する人にはチャンスが巡ってくる会社です。ぜひ、我々と一緒にグローバルなビジネスを広げていきましょう。

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