- 設立 2003年11月
- 事業内容 飲食業、環境ビジネス
- 資本金 1,000万円
- 従業員 310名(正社員 82名、アルバイト 228名)
- 本社住所 神奈川県横浜市中区野毛町1丁目52
- 電話番号 045-328-7770
- URL https://firstdrop.jp/
「魚と酒 はなたれ」をはじめとした居酒屋を、横浜・東京を中心に展開している株式会社First Drop。年々店舗数を増やしていて、2015年には40名だった社員が2019年には82名に増加するなど、会社としても順調に成長を続けている。新卒の定着率が8割以上と高く、働き続けたい会社として突出した評価を達成している同社。社員の働きやすい環境整備を第一に、さらなる成長を続ける取り組みについて、代表取締役の平尾謙太郎さんに話を聞いた。
1つでも多くの旨いを正しく食の場へ
1つでも多くの成長の場をかかわる全員へ
2019年7月時点で、First Drop(ファーストドロップ)が経営する居酒屋は22店舗となりました。主力店舗であり、当社の経営一号店となった『魚と酒 はなたれ』の店名は、焼酎を蒸留する際に一番初めに垂れる「初垂れ」に由来しています。私たちは、この香り高く希少な滴である「はなたれ」というインパクトのある言葉にインスパイアされ、これを店名としてスタートしました。そして、最初の一滴『ファーストドロップ』を社名にも掲げています。
「朝採りの生しらす」で繁盛店に
当社は飲食店の経営と経営コンサルを行っていますが、そもそもの始まりは私が大手流通会社鮮魚部に4年半勤務し、幅広く仕入れ・調理から数値管理までを学び、そこで培った技術と知識を活かして「自分で仕入れてお客様にお出ししたほうが、もっと安くておいしい魚を提供できるのではないか」と考えたのがきっかけです。
「鮮魚・地野菜・日本酒」を三本柱として、他店の居酒屋との差別化を図ってきたこだわりは、創業以来一貫して変わっていません。料理に関しては素人だったため、「とにかく安くてうまい魚を食べてもらおう」という意気込みで、新鮮で低価格の魚を提供することにこだわりました。今も「最初の一滴」の美味しさにこだわり、日本酒や食材の「旬の走り」をお客様にお届けしています。
毎日横浜中央卸売市場本場に出向いて早朝に全国から水揚げされた旬魚を仕入れ、さらに三浦の佐島港にまで足を運び、地元の漁師から直接朝どり魚を分けていただき「朝採り」の生しらすをお客様へ出せるようにしました。野菜も鎌倉の朝市などで農家さんが直接販売している旬の野菜を買い付けているほか、日本酒も新鮮な食材、料理に合う季節の地酒を選んでいます。
創業当時は冷凍技術も今ほど進んでおらず、「生しらす」が食べられる時期と場所は限られていました。「お客様に喜んでいただきたい」一心で毎朝往復2時間もかけて漁港をまわり、新鮮な魚を仕入れてご提供し続け、「関内で、しかも朝採りの生しらすが食べられるなんて」とお客様に大変喜んでいただけたことが今につながっています。
「はなたれ」という店名には、焼酎を蒸留する際の初めに垂れる希少性という意味もありますが、まだまだ未熟な「鼻たれ小僧」の意味も兼ねていましたので、お客様から親切に教えていただいたり、助けてもらったりすることも多くありました。運とお客様に恵まれてここまで来られたという感謝の思いでいっぱいです。
社員全員を経営者に育てたい
仕入れた安全で新鮮な食材を使い、お客様へひとつでも多くの美味しいものをお届けすること、そしてお客様の笑顔が見られることは私たちの最大の喜びですが、今後も店舗展開を進めるためには、お客様のニーズに応え、First Dropのノウハウとサービスを受け継ぐ人材を採用し育てていくことも重要な役割だと考えています。
当社では「働く人は成長する」という考え方をベースに、お店で使う技術や接客、魚の捌き方、衛生などの研修のほか、経営に携わる研修も多く行っています。また、「独立起業制度」を設け、独立するしないに関わらず、「将来、社員全員を経営者にする」を目標に、社員全員の経営者レベルへの成長をめざして人材教育に力を入れています。
新人のうちから数値管理や原価計算、マーケティングなどできるだけ多くの研修を行っているのは、若いうちにいろいろ体験してもらうことで、一緒に成長していきたいという考えに基づいています。
ソフトバンクの孫正義社長も大事にしている「マネジメントゲーム(MG)研修」は、経営に関する知識が楽しみながら身につくと社員にも好評です。また、脳科学を取り入れたエマジェネティック(EG)研修を取り入れたことで、配置のミスマッチやミスコミュニケーションが減り、離職率の低下と成長率向上につながりました。
「生しらすプロジェクト」で
SDGsに取り組む
ここ数年、気象変動や稚魚乱獲などにより、漁獲量に大きな変化が起きています。また、漁師さんの高齢化や後継者不在といった課題が深刻化しており、このままではおいしい魚をお客様にご提供できなくなってしまうのではという懸念も大きくなってきました。
そこで当社では、「生しらす」の売上の一部を地元の海再生と環境貢献に還元する「生しらすプロジェクト」を立ち上げました。
同プロジェクトの一番の目玉は、毎年一回行っている「一夜限りの1000人居酒屋」というイベントです。横浜の大さん橋ホールを貸切り、500円でワンドリンクと真鯛の稚魚の権利を買っていただき、1000人規模で飲食して海に感謝したあと、新卒社員が中心となって地元の漁師さんと一緒に協力して稚魚を海へ放流するというイベントです。一般参加者のほか、従業員の家族やお取引先、生産者もお招きして、盛大に行っています。当社の儲けは一切ありませんが、社会貢献のため、そして何よりも地元の海への恩返しのために、今後もずっと続けていきたいイベントです。
この取り組みは、最近、近隣の国立大学の授業でも題材として取り上げていただいています。おかげさまで近年では環境貢献に意欲の高い学生さんの入社希望も増え、今では全社員の平均年齢は26歳です。実際に継続して1000人居酒屋を毎年やる資金は繁盛店を増やすことで資金を捻出できている部分が大きいので、新入社員のみなさんには、このプロジェクトをいずれ事業化して利益が取れるように、そして自分たちの孫の代まで美しくおいしい魚が採れる海が続くよう、社員一人ひとりの力で未来につなげてくれることを期待しています。
飲食業界は外から見ると大変だといわれますが、こんなに目の前でお客様が喜んでくれるのを目にできる業界はほかにあまりないと思っています。なによりも自分で仕入れて自分で加工して自分で売るというのが全て体験できるので経営の要素がすべてつまっています。
将来的には海外進出も考えています。日本の枠にとらわれずにチャレンジしたい方、海外で働くことに興味がある方、そして「将来、自分のお店を持ちたい」という夢を持っている方はぜひ当社に来て欲しいと思います。今の自分に満足することなく、当社と共に成長していきたいと思う皆さんのチャレンジを待っています。
活躍する社員
社員の仲が良く楽しい職場
川野夏海(高卒・入社4年目)
高校の先輩が入社していて、「楽しい会社だよ」とすすめていただき、興味を持ちました。接客業はワクワクドキドキの連続で、入社して3年経ちましたが、毎日がとても楽しいです。新人教育では、メンターという制度があり、一対一で入社年度の近い先輩社員について指導を受けられます。気軽に相談にも乗ってもらえるので安心できますし、すごく仲良くなることもできました。全体的にフレンドリーな会社だと思います。今は接客をメインでやっているので、接客の楽しさをみなさんに伝えたいです。みんな仲がよくすごく働きやすい会社なので、ぜひみなさんも一緒に働きましょう。
活躍する社員
自己成長と環境貢献が実現できる
山崎雄也(埼玉工業大学卒・入社2年目)
新しいことに挑戦させてくれる社風に惹かれて入社を志望しました。また、「生しらすプロジェクト」などを通じて、「自分たちで海に貢献しよう」という社会貢献が当たり前にできている、というところも大きな魅力で、この会社なら自分も成長できると感じました。
実際に入社してみて、お客様のことを第一に考えているのはもちろんですが、海や自然環境のことも同時に考える視野の大きい会社だと感じています。多少不安なところがあっても、いろいろ新しいことに挑戦させてもらえることが自信にもつながっていきますので、ぜひみなさんにも挑戦してほしいと思います。この会社で一緒に成長していきましょう。
活躍する社員
家族のようにあたたかい会社
佐藤英里子(神奈川大学卒・入社1年目)
自分がやりたいと手を挙げたことに対し、積極的に応援してくれる会社です。私は料理の専門学校にも通っていたので、ゆくゆくはメニュー開発などに関われたらいいなと思って、日々頑張っています。
新人教育に関しては厳しい面もありますが、個々が成長できるように気にかけてくれる愛情ある厳しさで、「家族」のようだと感じています。入社1年目でもその「家族」の輪の中にしっかり入れますので、誰もが安心して、自分の長所を伸ばせる環境だと思います。