◎SDGsとは
SDGsとは2015年に国連サミットで採択された2030年までに世界規模で取り組むべき国際的な目標、「持続可能な開発目標(Substainable Development Goals)」のことです。
SDGsは2015年が期限であった「ミレニアム開発目標(MDGs)」後身で、2016年から2030年までに達成すべきであるとしています。参加国は国連加盟国の193カ国で、17の目標、169のターゲット、232の指標から構成されています。
17の目標は以下のようになっています。
- ビジネスチャンスが増加する
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気象変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
国連が発表した報告によると、この目標は「企業の協力なしに実現しない」としています。SDGsと企業、ビジネスとはどのような関係にあるのでしょうか?
◎SDGsとビジネスの関係性
ビジネスと持続可能な開発委員会(business & Sustainnable Development comission)の「Better Business, Better World」※1によれば、「いかなる企業もその基本として自らの事業内容がこの(SDGs)アジェンダの妨げにならないことが重要」であるとしていますSDGsは世界の企業が取り組むべき課題なのです。
同レポートによると、SDGsを達成することで食料と農業、都市、エネルギーと資材、健康と福祉の4分野において、多くの新たな市場機会を生み出すとしています。2030年までに少なくとも12兆ドルの経済価値がもたらされ、最大31億8000万人の雇用が創り出される可能性があるとしているのです。SDGsを達成することは、莫大な経済効果を発揮するのです。
ビジネスと持続可能な開発委員会はビジネスリーダーに対し、6つの主な推奨事項を設けています。
- 御社及び、ビジネスコミュニティー全体において、SDGsへの支援と正しい成長戦略として構築する
- 社会の信頼を回復し、グローバル目標全般を達成するために政府、消費者、市民社会と協力して事業運営のライセンスを獲得する
- SDGsを企業戦略に取り入れる
- セクター同業者と持続可能な市場への変換を推進する
- 長期的に持続科のぬな投資を志向する金融システムを推進する
- 政策立案者と協力し、天然資源と人的資源の真のコストを支払う
ビジネスリーダーは自社のビジネスのことのみを考えればいいのではなく、社会との繋がりも大切にしなければなりません。この報告を受け、日本でもSDGsに関わるアクションプランが2020年に制定されました。その中でSDGs推進本部はビジネスでSDGsに貢献するという内容の「ビジネスとイノベーション~SDGsと連携する『Society 5.0』の推進」を日本のSDGsモデルの中核の1つとして掲げています。
Society 5.0とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな経済社会のことを指します。内閣府によると、Society 5.0は「サイバー空間とフィジカル空間をより高度に融合させることによって地域、年齢、性別、言語等による格差なく、多様なニーズ、潜在的なニーズをきめ細かに対応したものやサービスを提供することで、経済的発展と社会的課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会」です。
Society 5.0を達成するにはこれまで以上に企業が多様なニーズに対応するべきであり、世界の課題を見据えたニーズも解決していく必要があるのです。
◎企業がSDGsに取り組むメリット
ここまで、企業がSDGsに取り組むことの重要性をお話しましたが、ここからは企業がSDGsに取り組むメリットをご紹介していきます。
企業ブランディングを行える
SDGsとブランディングには中長期的な取り組みであるという共通点があります。SDGsに取り組むことは、ブランディングを実現することが可能です。いいものをつくれば、売れるという時代は終わりました。今の時代は顧客やクライアントにいい商品やサービスというもの以上の付加価値をつけなければ選んでもらうことはできません。
その会社が何を目指し、どういう姿勢で、何を提供しているのかというストーリーが顧客やクライアントの心を動かし、魅了するのです。経済面だけでなく、社会性もアピールできるSDGsは企業のブランディングにぴったりです。
さらに、企業経営にSDGsを取り入れることで、自社は持続可能な企業であることをアピールすることができるので、事業の継続にも繋がります。
企業の信頼度がアップする
世界の課題解決を行おうとする姿勢は企業の信頼度アップに貢献します。SDGsに取り組むということはCSR活動として非常に重要な意義を持ちます。その結果としてステークホルダーや取引先との関係が良好になるのです。
帝国バンクが2020年6月に行ったアンケートによると、SDGsの達成への貢献によって向上される企業価値では、「企業好感度」が53.3%(「非常にそう思う」と「ある程度そう思う」の合計)でトップでした。また、「社会的評価」も50.4%で半数以上という結果に。SDGsによって社外からの見られ方に好影響があるとの意見が強いという結果になっています。
資金調達がラクに
信頼度が上がるとともに資金調達が有利にもなります。近年、ESG投資※2が注目されています。SDGsに積極的に取り組むということは、ESG投資の対象になることができ、資金の観点からも非常に有利だということができます。
一方で、SDGsに取り組まないということは世界の課題に無関心ということを指します。将来的にサプライチェーンから外されたり、株主や地域の支援を得られなくなる可能性もあるのです。
地域からの理解が得やすくなる
SDGsのための活動によって、企業が地域から理解を得られやすくなるというメリットがあります。SDGsの取り組みは、地域貢献も同時に行うことができます。地域からの理解を得られることによって、より良い企業活動ができるのです。
ドコモによるとSDGsのマーケットは国内で70兆円のマーケットに成長する見立てがあるとのことです。SDGsの目標解決のために、イノベーションを促進し、新規事業を立ち上げたり、他業種との協働などによって新たな価値・収益を生むチャンスに繋がります。
コスト削減に繋がる
省資源・省エネを徹底して行うことで、コスト削減効果があります。コスト削減を実現することで結果的に売上アップにも繋がります。
人材/採用の問題が解決する
電通による「第2回 SDGsに関する生活者調査」によると、一般市民と比較して、学生のSDGsの認知度が高いとの結果が出ました。SDGsに取り組むということは、学生に対してもプラスの印象を与えることができます。つまり、学生の感心の高いSDGsを採用活動のネタに利用できるのです。
またSDGsという先進的な取り組みを行い、ブランドの認知度も高い企業にはそれだけ先進的な志向をもった優秀な人材が集まりやすくなるため、採用にかける時間や費用を削減できます。
それだけではなく、SDGsは人材の定着にも役立ちます。SDGsに取り組むことで、社員が働きがいを感じ、満足度が向上することによって、社員の離職率を大幅に下げることが可能です。SDGsに取り組むことは人材採用だけでなく、企業に入った後のやる気にもプラスの効果を与えるのです。
まとめ
このようにSDGsに取り組むことは、ビジネスだけでなく、人材・採用にも繋がっていくのです。
人材という観点からもSDGsに力を入れてはいかがでしょうか?
SDGsを既に力を入れているという企業への朗報はこちらから。
※1 https://sustainabledevelopment.un.org/index.php?page=view&type=400&nr=2399&menu=1515
※2 ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)の3つの観点から企業の将来性や持続性などを分析・評価した上で、投資先(企業等)を選別する投資方法のことです。