【株式会社オオモリ】神奈川・東京・千葉・埼玉を中心に土産品店、ドラッグストア、飲食店を展開

  • 設立   1958年11月25日(創業は1946年)
  • 事業内容 食料品及び雑貨の販売、医薬品・雑貨・化粧品の販売、飲食店営業
  • 資本金  3,000万円
  • 従業員  約360名(社員・アルバイト含む)
  • 本社住所 神奈川県川崎市幸区幸町1-749-2
  • 電話番号 044-540-3311
  • URL   http://kk-omori.com/

東京駅の地下街でよく見る土産品店や、成田空港内にあるドラッグストアなどを展開している会社の本社が、実は神奈川県川崎市にある。横浜市などで上島珈琲店も運営している「株式会社オオモリ」だ。同社代表取締役社長の大森正揮氏と、取締役営業人事本部長の髙橋章郎氏から、創業70年以上という歴史と現在の働き方について聞いた。

創業から70年以上
「総てはお客様のために」質の高い接客

当社は神奈川・東京・千葉・埼玉を中心に、土産品店、ドラッグストア、飲食店を合計18店舗展開しています。飲食店は横浜市にある「上島珈琲店 横浜センター北店」など5店舗、土産品店は東京駅一番街にある「東京みやげセンター店」「諸国ご当地プラザ店」など8店舗、ドラッグストアは成田空港第一旅客ターミナルにある「FIT DRUG店」など5店舗です(店舗数は2019年7月時点)。

店長は経営代行者「総てはお客様のために」

当社には「『真のお客様商売』を追求して、実践する事により、オオモリのお客様、そしてオオモリに関わる総ての『人』達へ豊かさを届ける。それが私達の使命である。」という経営理念があります。店舗の業態は幅広いですが、この理念の下、お客様のための質の高い接客をしているという点が、どの従業員にも共通しているオオモリの誇りです。
当社の店舗運営スタイルは、本部主導型ではなく、現場に権限を委譲しており、一般的なチェーン店の店長とは権限の大きさが全く異なります。まさに「社長の分身」として店舗にいるのが店長で、それぞれの店長が経営代行者です。
物販ならば商品の発注、飲食ならば仕込みの量はもちろん、いずれの業態でも接客スタイル、イベント企画、アルバイトの採用、売上管理など、現場の全てを店長に任せています。ですから「商品のラインナップを見直したい」「ディスプレイを変更したい」「こんなイベントがあったら、お店が盛り上がるかも」といったアイデアを、店長を中心にスタッフみんなで考え、どんどんカタチにしていける会社なんですよ。

創業から70年余り、川崎を本社に多業態展開

本社が川崎市にあるのに、なぜ店舗は川崎にないのかと、よく聞かれます。当社は創業から70年以上の会社で、現在の社長は三代目。創業して数年後から2010年頃まで、川崎駅の駅ビルを中心に、スポーツ用品店やドラッグストアなど複数店舗を展開していました。
当社の小売業のはじまりは、戦後間もない1953年。創業者である大森正男が、東京駅名店街(当時)が誕生した時に、医薬品などを扱う店を個人で開業。その後、1958年にご縁があって、川崎駅の駅ビル誕生とともに、ドラッグストアやコーヒースタンド、スポーツ用品店など複数店舗を開設しました。
1964年には、川崎市の駅前本町に5階建ての本社ビルを建設。このビルは、当時の従業員の独身寮も兼ねていました。その場所には、2000年にマンションを建設し、現在は賃貸マンションとして運営しています。
1978年には、新東京国際空港(現・成田国際空港)に医薬品などを扱う店を開設。もともと医薬品の販売からスタートした当社ですが、一時はスポーツ用品店を数多く展開。神奈川県内は川崎の他、鶴見、平塚、横須賀、東京は吉祥寺、八王子、立川など、10店舗以上を運営していたこともあります。
その他にも、ベーカリーショップ、珈琲店、カレーショップなど、多業態を展開。さまざまな店舗を運営して、スクラップ&ビルドを繰り返してきました。
そして2010年頃、多店舗展開していたスポーツ店を全て閉鎖。土産品店とドラッグストア、飲食店に業種を絞りました。2000年代途中までは、東京駅の土産品店が1店舗と、成田空港の土産品店が1店舗、ドラッグストアが1店舗しかありませんでした。その後、慎重かつ前向きにチャレンジをして、土産品店とドラッグストアの店舗数を地道に増やし、現在は飲食店を含め18店舗となりました。
このうち上島珈琲店については、2008年に川崎駅ビル別館に開設(現在は閉店)したのを皮切りに、神奈川県内や埼玉、千葉にも進出し、最大で6店舗を展開。現在は、神奈川県内の「横浜センター北店」「港南台バーズ店」の他、東京の「神谷町駅前店」と埼玉の「イオンモール浦和美園店」と、4店舗を運営しています。

三代目社長が経営理念を明文化、現場にも浸透

創業者の孫にあたる三代目社長が家業に入ったのは、2004年。複数の現場を経験後、社長に就任しました。二代目社長まで、経営理念は概念的なものでしかなかったのですが、当時それを明文化する中心に現社長がいました。
経営理念を明文化し、従業員みんなに浸透するように強化したのは、2011年からのこと。この理念は、現場で働く人たちの意見を取り入れながら作りました。みんなにオオモリとしての「共通言語」を持ってほしいと思ったからです。
前述のように当社の店は、各店店長の裁量が大きく、独自性が強い。「お客様のため」だけでは範囲が広すぎるので、どうすれば具体的な行動にできるのかと考え、経営理念の他に「オオモリスピリッツ」と「クレド」を作りました。
スピリッツは10項目。「一、1人1人のお客様をおもてなしする努力を惜しむな!」「一、自分が最終責任者としてどうする! 自分の事業・店舗ならどうする! 自分が事業の経営者ならどうする!」といったもので、当社の精神構造を表しています。
このスピリッツをもとに、行動指針としてクレド17項目を作成。「私達は総てにおいて『お客様(にとって)』を主語にして、考えます、発言します、判断します、検証します、考動します」といった具体的なものです。
中でもクレドの「発言」という項目では「発言しない事は罪」と明記。当社では、良いと思う事・必要と思う事・正しいと思う事を発言すべきと考えており、それは経験や等級、職務に関係ありません。
当社は小売業と飲食業なので、従業員も日常では全員が「お客様」になり得ます。ですから、会社や店舗を良くするための発言であれば、どんな人の意見でも間違っていないと考えているのです。そうした発言をもとに何か決まったら、決まった後でいろいろな意見を言わずに、行動する。意見があるなら、しっかり発言する。そういう雰囲気づくりをめざしています。

質の高い接客で多数のコンテスト表彰

経営理念の理解は、接客の質につながっています。社員もアルバイトスタッフも、お客様から見れば同じオオモリの従業員なので、アルバイトにも経営理念を理解してもらって、同じ目線で仕事をしてもらっています。そこに誇りを持っている従業員は多いですね。
それぞれの店の「お客様のため」なので、立地や業態によって接客方法が異なる場合もあります。例えば、東京駅にある店舗なら、道案内を仕事のひとつと考えて、すぐにご案内できる駅周辺地図などを携帯している人もいます。これは直接、売上につながらないこともありますが、道案内も目の前のお客様のニーズを満たしてあげるという意味では「お客様のため」なんです。一方で、オフィス街にある上島珈琲店なら、急いでいるお客様が多いので、接客やサービスのスピードが大事になります。
また、時代に合った接客も大切です。ひと昔前は、商品の機能や特性を正しくお客様へ説明することを重要視してきました。。でも今は、お客様のニーズをいかに的確に引き出せるかが大事。例えば、「今日はお仕事帰りに立ち寄っていただいたんですか?」といった質問から入り、そのお客様は何が欲しくて、何が最もふさわしいのかを提案できるということです。
当社は、東京駅一番街に複数出店していますが、東京駅は常に大変多くのお客様でにぎわっています。そんな場所に店がある、そんな場所で働くということは、本当に素晴らしいこと。でも、入社して働き始めると、それが当たり前になってわからなくなりがちなんです。みんなにもっと誇りを持って働いてほしいと、接客などのコンテストには積極的に参加しています。
おかげさまで、東京駅や成田空港、上島珈琲店など、これまでに多数の賞を受賞しています。いつも「お客様のために」という姿勢で仕事に臨んでいるので、その姿勢が評価されて、コンテストで表彰される結果につながっていると思います。

100年企業をめざし、幹部となる社員を募る

当社が企業説明会などで伝えている3つの特徴は、次の通りです。
1.経営者の代わりに店舗を運営できる。大手チェーン店にはない自由度があり、自分の想いをカタチにできる。
2.単なるモノ売りではなく、質の高い接客をめざしている。商業施設内に多く出店しているので「ぜひ出店し続けてほしい」と言われるような魅力的な接客を重視。このため、施設内の接客コンテストにも積極的に参加する文化がある。
3.接客・サービス業なので、土日祝日は出勤することになるが、サービス残業がなく、労働環境がいい。5連休なども取れ、年間休日は120日以上。
現状、同業界ではスタッフの数や人件費を抑えることを重視した会社・店舗も多いですが、当社ではベースの人員数を他社よりも多く確保し、仮に予定外の欠員が出ても常に一定の対応ができるよう、人員体制を充実させています。会社にとっては、人件費というコストはかかっていますが、これも「お客様のための商売」を優先させるためです。
従業員の平均年齢は34歳と若く、社長は43歳です。中途入社の社員にとっては、やりたいことができるのでやりがいがありますし、新卒はアルバイトからそのまま入社という人もとても多くいます。
新卒社員には、メンター(指導者、助言者)を付けて、定期的に面談。現場の声をできるだけ吸い上げられるようにしています。当社はお客様だけではなく、「人」を大事にする会社なので、人に対するアンテナが高い社風。楽しく働いていなければという考えなんです。
創業から70年余りの当社。創業者のフロンティア精神を受け継ぎ、まだまだチャレンジしたい。今後は、オオモリとしては初めて大阪に出店予定です。100年企業をめざして、幹部となる社員を育てたいと考えており、私達とともに「共創」するメンバーを募っています。

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