【自分の満足する職を探す方法】バイアスを外す

人間の意思決定力は生まれつき深刻なバグを抱えており、そのせいでどれだけ業界・企業分析しようが、正しくキャリアを選ぶことは難しいという話があるのをご存知でしょうか。

近年では経営学の世界でも「情報の分析を行う際には必ず脳のバグを取り除く」という考え方が普及しているほどです。このような私たち人間に生まれつき備わっているバグを人間経済学では「バイアス」と呼んでいます。直訳すると「偏ったものの見方」のことで、「人間は常に一定の決まったパターンでミスを犯す」という現象をあらわした言葉です。

このバイアスを理解し、解除することで、あなたの職選びの精度を上げることができます。今回はバイアスを外す方法を「科学的な適職」から3つ厳選してご紹介します。

目次

10/10/10テスト

360度フィードバック
親友イメージング

10/10/10テスト

このテストは目先の感情だけでなく、未来を想定することによって精度の高い結論を出す方法です。
方法はシンプルです。ある問題において3つ時間を変えてイメージしてから、判断します。

① この選択をしたら、10分後はどう感じるだろう?
② この選択をしたら、10か月後はどう感じるだろう?
③ この選択をしたら、10年後はどう感じるだろう?

例えば、ある会社に入るか迷ったときにこの方法を用いたとします。今現在は「成長している企業だから入りたい!」というように、つい感情で行動しがちですが、この10/10/10テストを行うことで将来をはっきりと思い描き、近眼的な判断をリセットすることができます。

① 10分後は多分、いい決断をしたとおもうだろうな…
② 10か月後は仕事に慣れるのでそれどころじゃないだろうな…
③ 10年後にはもしかすると倒産しているかも…激務でからだを壊しているかも…

このように今だけの感情にフォーカスするのではなく、未来を想像することによって判断の精度を上げることができます。

360度フィードバック

360度フィードバックはビジネスの世界ではよく使われる方法です。360度フィードバックは1、2人の判断だけではなく、あらゆるグループから査定される方法です。そのメリットは1950年代から広く認められ、近年では病院、政府機関や学校などでも取り入れられています。

職選びも同様で、あらゆるコミュニティの相手からフィードバックをもらうことで、後悔をしない仕事選びになるかと思います。

アメリカのロミンガー社の研究によれば、フィードバックをもらう人間との付き合いの長さで精度が変わることがわかっています。


・ 知り合ってから1~3年の相手に相談するのが、最も正確さが高い
・ 知り合ってから1年以内の相手に相談するのは、正確さでは2番目になる
・ 知り合ってから3~5年の相手に相談するのが、最も正確さは低い

あまりに付き合いが長い相手だと私情が入ってしまい、本当のことを言わなくなってしまうし、知り合って1年以内だと十分な情報が集まりにくいからだと考えられています。

自己分析のフィードバックをもらう際には長年関係のある親友よりも、1年以上続けているバイト先の先輩や同僚、または大学から知り合った友人など、比較的新しい関係性の多方面のコミュニティからフィードバックをもらうようにして、客観的に職選びの判断の精度をあげましょう。

親友イメージング

もし周囲に聞けるような友人がいなくても落ち込むことはありません。簡単に自分にフィードバックを与える方法があるのです。この方法を行うだけで意思決定の質が20%程上がると言われています。

その方法とは、自分の悩みを自分の親友に起きたこととして置き換える方法です。そもそも自分のトラブルをうまく処理できないのは、問題との距離が近すぎるせいで、一歩引いたところから客観的に見られないためだと言われています。「この問題は自分に起こっていることではなく、他人に起こっていること」として見つめ直すことにより、俯瞰的に眺める視点が生まれ、思考に余裕が生まれます。

具体的にはこのように活用します。
① 就職に関する悩みをひとつだけピックアップする
② その悩みが一番の親友に起きているものだとイメージする
③ 悩める友人にどんなアドバイスができるかイメージする

これだけで簡単に自分のバイアスを解除することができ、精度を上げることができるのです。

将来のことは専門家でも予測不可能な時代だと言われています。そんな中でも、精度の高い判断を行うためには一度冷静になり、客観的に判断を見つめなおすことが非常に重要なのです。

最後

バイアスを取り除く他の方法をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2019/12/13
鈴木 祐  (著)