「好きを仕事にしろ!」というアドバイスは間違っていた?!

Googleで「就職」と検索すると、「就職 すきなこと」と予測が出るほど多くの人が好きなことを仕事にしたいと考えていることがわかります。また近年、好きなことを仕事にするためのハウツー本も増えています。

しかし、実はある研究データでは好きを仕事にした人は長続きしないというデータが出ています。自分が満足する職を探す方法として「好きなことを仕事にしない」という選択肢を持ってみてはいかがでしょうか?

今回は好きを仕事にしないほうがいい理由を書籍「科学的な適職」から研究結果を基にお伝えします

目次

  • 好きを仕事にするとスキルも伸びない。
  • 情熱を持てる仕事を探せ!
  • 真の天職は「なんとなくやってたら楽しくなってきた」から見つかる

好きを仕事にするとスキルも伸びない。

オックスフォード大学が行った研究では「好きを仕事にした人ほど長続きしない」との結論が出ています。こちらは北米の動物保護施設で働く男女にインタビューを行った調査で、研究チームは被験者の働きぶりをもとに3つのグループに分けています。

・好きを仕事に派(「自分はこの仕事が好きだ」と感じながら仕事に取り組むタイプ)
・情熱派(「この仕事で社会貢献するのだ」と思いながら仕事に取り組むタイプ)
・割り切り派(「仕事は仕事」と割り切って日々の業務に取り組むタイプ)

その後、全員のスキルと仕事の継続率を確かめたところ、最も優秀だったのは「割り切り派」だったそうです。情熱を持って仕事に取り組むほうが仕事の継続率が高いように思えますが、実際には「仕事は仕事」と割り切った方が作業の上達が速く、すぐに仕事を辞めない傾向があるようです。

もし好きな仕事に就けて最初の内は喜びを感じられたとしても、現実はそこまで甘くありません。どんなに好きな仕事でも、顧客のクレーム処理やサービス残業のような面倒ごとが起こってしまうことは仕方のないことです。好きなことを仕事にしていた人ほど「自分はこの仕事に向いてないのかもしれない…」と疑念にとりつかれ、モチベーションが大きく上下するようになります。結果として、離職率も上がってしまうのです。

情熱を持てる仕事を探せ!


「好きを仕事に」と並んでよく聞くのが、「情熱を持てる仕事を探しなさい」というアドバイスがあります。実は、天職とはどこか別のところにあるものではなく、自分の中で養っていくものです。

2014年にロイファナ大学院が多数の起業家にアンケートを行い、それぞれが「いまの仕事をどれだけ天職だととらえているか?」を尋ね、「仕事に投入している努力の量」や、「毎日どれだけワクワクしながら働けているか?」といったポイントをチェックしました。

その結果、以下のような事実が見えてきたそうです。
・いまの仕事に対する情熱の量は、前の週に注いだ努力の量に比例していた
・過去に注いできた努力の量が多くなるほど、現段階での情熱の量も増加した

被験者の中で、最初から自分の仕事を天職だと考えていた人はほぼおらず、ほとんどの人が最初の内はなんとなく仕事を始めたのに、それに努力を注ぎこむうちに情熱が高まり、天職に変わった人だったとのことです。

この実験で証明されているように、実は自分の仕事に情熱を持てるかどうかは、あなたが人生で注いだリソースの量に関係するのです。

真の天職は「なんとなくやってたら楽しくなってきた」から見つかる


また、こんな研究もあります。ジョージタウン大学のカル・ニューポートは、自分の仕事を「天職」だと考えている人たちに行ったインタビューから「天職に就くことができた人の大半は、事前に『人生の目的』を決めていなかった。彼らが天職を得たのは、ほとんどが偶然の産物だったのだった」という結果を導き出しています。

以上の研究からもわかるように、情熱は実は自分の内にたぎる熱い感情などではなく、「なんとなくやっていたら楽しくなってきた」といった感覚から始まる穏やかなプロセスだと言えます。

「好きを仕事に!」や「情熱を持てる仕事を探せ!」は、かように多くの実験で否定されたアドバイスであり、人生の満足度を高めるソリューションにはなりません。

以上のように数々の研究結果から、実は自分の好きを仕事にしてしまうと、挫折しやすいということがわかっています。また、現在情熱を持てる仕事を探すよりかは、その仕事を継続し、努力を注ぎ込み続けることで、次第に情熱を持てるようになるのです。

自分が満足する職探しにぜひ活かしてみてください!

最後

自分が満足する職を探す方法をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください

「科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方」鈴木 祐
(2019/12/13/クロスメディア・パブリッシング)