日本プロサッカーリーグ『Jリーグ』創設当初からのチーム『オリジナル10』の一つである『名古屋グランパス』を運営する株式会社名古屋グランパスエイト(以下、名古屋グランパス)。
名古屋グランパスはトヨタ自動車を中心とし、中京商業圏唯一のJ1クラブチームとして愛知県民の多くの声をもとに発足されたサッカーチームだ。
2016〜17年のシーズンではJ2リーグへの降格を経験するも地域の方々やサポーターの支え、チームの革新のおかげで1年で奇跡のJ1復帰を実現させた。ホームタウンすべての人々に「グランパスで一つになる幸せ」を提供することを使命とし、地域に根差したチームをクラブスタッフだけでなく地域全体を巻き込んで作り上げていくことを目標にしている。今回は、Jリーグのクラブの運営会社の集客やコミュニティ活動、地域貢献などについて伺った。
『町いちばんのサッカークラブ』を目指して
名古屋グランパスの大きな特徴として愛知県内では多くの方が、当クラブを応援してくださっていることが挙げられます。
他の地域では周辺にチームがいくつかあることが多いですが、当クラブは愛知という広い地域内では唯一のJ1クラブチームのため、県内で応援チームが分散することがなく、地域とより一体化することができ、サッカーを通じて愛知を盛り上げることに役立っています。
特に愛知県内でも名古屋市と豊田市、みよし市の三市とホームタウン協定を結んでおり、愛知県内でもその三市を中心とした活動をより濃く行うことで、ファンやサポーター、地域の皆さんとともに成長していくことを目指しています。
Jリーグの『スポーツ文化を日本に広める』という理念に沿い、サッカークラブの運営や集客、イベント、グッズの開発、さらにはサッカーの普及や社会貢献などに取り組んでいます。
大きく分けると『プロサッカークラブの運営』、『サッカーの普及活動』、『地域の人とのつながりに貢献する』の三本が事業の柱になります。
その中で私たちの目指す理想像は「町いちばんのサッカークラブ」になることです。
これは、勝敗を超えて「自分がグランパスを支える!」という想いでチームを応援してくださる方を増やすということです。そのために、試合を観に来たお客様が楽しいと思っていただけるサッカークラブ作りを心がけています。
そうすれば、スタジアムに足を運んでくださるお客様が増え、多くの方に笑顔になっていただけて、クラブに対して誇りや愛着を持っていただけると考えております。
このような考えのもと様々な取り組みを継続していくことで、スタジアムに足を運んでくださる機会がさらに増えるでしょう。こうした『正のスパイラル』を創りあげてどんどん回転させていくことで、『町いちばんのサッカークラブ』を創りあげることを最大の目標としています。
そうしたクラブの活動の中で私たちスタッフが重視しているのが『集客』の部分になります。
名古屋グランパスでは他のJ1クラブに先駆けてデジタルマーケティングを取り入れました。
お客様の行動や要望をデジタルマーケティングによって可視化することで、お客様一人ひとりに最適なアプローチをすることが可能になり、試合で結果が出ていない状況でも、より多くのお客様にスタジアムに足を運んでいただき応援してもらえるようになりました。
このようなデジタルツールを活用しながら『支える想い』をスタジアムに足を運ぶという行動に変えるためのアプローチが、私たちの大きな仕事の一つと言えます。
全選手が参加する地域貢献やSDGs関連活動
当クラブが2016〜17シーズンにJ2への降格を経験したことは、クラブやサポーターにとっては辛い記憶になりましたが、この経験によって地域の方々との結びつきはより強いものになりました。
商店街の方々が、様々な応援施策を主催したりサポートする活動をしてくださったのです。
こうした応援やサポートと、私たちのデジタルマーケティングを活用した集客手法、さらには年間400回近くの地域貢献活動などでお客様とのタッチポイントを増やし、今まで以上に名古屋グランパスを身近に感じていただけるようになったのではないかと思います。
これらの経験に20年以上の地道な草の根活動が結びつき、今では多くのお客様がスタジアムに足を運んでくださる状況を作れているのだと思います。
また、Jリーグには『百年構想』というものがあり、地域とともに歩み成長し日本にサッカーだけでなくスポーツ全体をもっと普及させるという理念があります。
地域活動や社会貢献活動への積極的な取り組みも名古屋グランパスの役割の一つであり、グランパスをよく知らない人が新たに興味を持つタッチポイントの一つになると考えています。活動の一つとして、子どもを対象にした取り組みに力を入れています。
ホームタウンの中心となる三市それぞれの学校を選手が訪問し、夢を持つことの大切さやチャレンジすることの大切さなどを講演で伝える活動を行っています。
また、親子招待や小中高生1万人無料招待など、多くの子どもたちをスタジアムに招待して、実際に選手たちのプレーをしている場面を見て、肌で感じてもらう活動も行っています。
子どもたちは感受性が豊かであるため、プロスポーツを見ることで勇気づけられたり、夢を持つきっかけになったりと、記憶や心に強く残りやすい年代です。これらの活動を通じて、子どもたちの健やかな成長を支援するとともに、名古屋グランパスと深いつながりを持ってもらえたらと考えています。
近年は、SDGsを意識した活動にも目を向け、ホームタウンである愛知だけでなく、持続可能でより良い世界が実現できるように全社を上げてSDGs関連活動に取り組んでいます。
昨年からは、南海トラフ地震に備えた防災活動を行っており、サッカーをしながら防災も学ぶことができる取り組みや、身につけられる防災グッズなどの企画に取り組み、今後も様々な企画をリリースする予定になっています。
サッカーと名古屋を愛する人が働く名古屋グランパス
私たちが働いている株式会社名古屋グランパスエイトは、サッカーをプレーするプロ契約の選手や監督、コーチ、スタッフと、営業や広報、運営、ホームタウン活動などを担うフロントスタッフで構成されています。
知名度のあるチームではありますが、総勢120人程度の小規模な会社です。
クラブスタッフには元サッカー選手や入社前からのグランパスファンである人、愛知県出身者だけでなく、様々なキャリアや経歴を持つ社員が一緒に働いています。
サッカークラブであるとはいえ、会社組織ですから、選手やコーチ以外にも経理や総務、営業、企画などの普通の会社と同じような部署があり、行政や金融機関、チケット販売会社、流通系企業など、全員が前職の経験やスキルを活かして仕事に取り組んでいます。
よく誤解されることですが、社員に求められることの一つに熱狂的なグランパスサポーターであることが必須というわけではありません。名古屋グランパスに興味を持たない人に振り向いてもらうためには、サッカーに興味がない人の気持ちがわかることも重要なことだと考えているからです。
名古屋のサッカーチームを運営する仕事なので、サッカーというスポーツと愛知という地域、この二つを大切にしているメンバーが集まっています。
これらのことを含め、いろいろな業種から様々なキャリア、感覚の人が集まり、同じビジョンを共有して仕事をできるのが、名古屋グランパスという会社の面白いところだと思います。
また、これまでの採用はすべて中途採用でしたが、2020年度は新卒採用にチャレンジをしています。これは名古屋グランパス28年間の歴史の中で初めての試みになります。
勝敗を超えた「クラブを支える」想いがカギに
サッカーというスポーツは勝敗があって、時には勝てない時期も出てきてしまいます。それは当然、観に来るお客様が減るというリスクをはらんでいます。
しかし、負けが込んでいる時こそお客様にスタジアムに足を運んで応援してもらえるように最大限に努力し、勝っている時には集客を最大化できるよう積み上げていく、これが事業側の部門に課せられた役割だと思っています。
そのためには『町いちばんのサッカークラブ』を目指し、実現させることが重要だと考えています。このキーワードはサポーターに愛されるチームを作る上でも、安定した経営基盤を構築する上でも不可欠な要素です。
実際に5年ほど前は20〜30億円程度だった事業規模が、2019年には50億円まで拡大しています。今後もさらに大きくしていくつもりですが、そのためには良い選手を獲得したり、育成したりして、チームを強くし、グッズやスタジアムの魅力をさらに充実させ、スポンサーをさらに増やさねばなりません。
今まで以上に、地元の方々に「自分が名古屋グランパスを支えている」という想いをもっていただき、さらにはそのような想いを持つ人を増やしていく取り組みを継続的に行っていくことが必要だと考えています。
愛知県で働くことで人生を豊かに!
当クラブは、愛知県の皆さんにとても愛されていると自負しております。
チームが勝てば地元の皆さんと一緒に喜び、負ければ一緒に涙する、そんなプロスポーツチームの醍醐味を存分に堪能できる仕事です。そして、名古屋グランパスというチームを私たちとサポーターが一体になって応援する、それが仕事の喜びや誇りになっています。
鳥肌が立つ瞬間がある仕事は数少ないと思いますが、今の仕事ではその瞬間が度々訪れます。たとえば、サポーターで超満員のスタジアムを見た時は鳥肌が立ちます。
また、愛されているだけではなく、信頼を寄せられているというところも当チームの強みになります。災害義援金の募金を行った際も皆さん快く募金していただき、安心して任せていただいているのだと感じています。
信頼や期待などの想いをいただいていることに対して責任を感じるとともに、仕事へのモチベーションにもつながっています。
愛知県は観光や農業も盛んで、山もあって海もある。しかも日本のおおよそ中央に位置して、様々な地域の文化が混在する本当に面白い地域だと思います。間違いなく日本有数の住みやすい地域です。
そんな地域でプロスポーツの仕事をするというのは、本当にやりがいがあり、大勢の人と爆発的な感情を共有することができる幸せな職だと思います。
様々な経験を体験することはより良い人生につながると思うので、愛知県で働くのはおすすめです。
株式会社名古屋グランパスエイト 設立:1991年7月17日 資本金:1億500万円 本社住所:愛知県名古屋市東区泉 1 丁目 23 番 22 号 クラブハウス: 愛知県豊田市保見町井ノ向 57-230トヨタスポーツセンター内 電話番号:0565-79-8880 URL:https://nagoya-grampus.jp/