【JTB】すべての人に価値ある出会いを届ける「交流創造事業」会社

ブランド・コミュニケーション担当部長 細野さん

SDGsの文脈に沿った事業発展 

JTBは外国人観光客の誘致・斡旋を目的に「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」として1912年に創業しました。その後、「日本交通公社」「ジェイティービー」を経て、2018年1月に現在の「JTB」へと変更。2022年3月に創立110周年を迎える私たちは、「感動のそばに、いつも。Perfect moments, always」をスローガンに価値ある出会いを創造しています。

JTBは創業以来、SDGsの文脈に沿って事業を展開してきました。多様な価値観や文化をもつ海外からのお客様が、いかに日本を楽しみ、日本のことを知っていただけるかについて考え、その後、逆に日本のお客様に世界を楽しんでいただくお手伝いをしてきた私たちは、今も地球を舞台にあらゆる交流を創造し、お客様の感動・共感を呼ぶ事業を展開しています。

JTBが目指すゴールは、すべての人が平和で心豊かにくらせる社会の実現であり、まさにそれはSDGsと同じ方向を向いています。

設立当初は外国人への誘致を目的にしていた事業は、訪日人数が増えるにつれ、鉄道切符の手配や歌舞伎鑑賞券の販売など、日本での滞在をより快適に過ごすためのものへと進化していきました。事業内容だけでなく、販売形式や新規システムをお客様のニーズにあわせて更新しつづけてきたのも当社の特徴です。

また、現在では当たり前になった通信販売やインターネット販売を早くから導入したのも、「すべての人の感動のそばにいつも寄り添いたい」という思いに基づいたものです。そして現在は交流創造事業を事業ドメインとして、地域交流、イベント、広告、商事など、あらゆる交流の創造をお手伝いできるよう活動しています。

ジャパン・ツーリスト・ビューロー創業時

「交流」で持続可能な社会の実現を 

私たちは「心豊かなくらし」「人々をとりまく環境」「パートナーシップ」の3つをSDGsのマテリアリティ(重要課題)に掲げています。サステナブルで心豊かなくらしを実現することで、すべての人々がいきいきと輝ける社会の実現を目指します。そして、かけがえのない自然や文化の魅力を維持するには、ステークホルダーとのパートナーシップが重要です。

お互いの人権や尊厳を大切にして支え合い、誰もがいきいきとした社会の実現に向けて、「交流」には人々の心と体に活力を与える力があると考えています。

新型コロナウイルスによって交流が分断されたとき、いかに交流が大事かを実感した方は多かったはずです。私たちは、110年の歴史の中でさまざまなお客様や事業パートナー、地域の方々との関係性を構築してきましたが、今後もそのつながりを活かし、国や地域、人との相互理解を深め、心と体に活力を届けていきます。

現在は「つなぐ・つなげる」をキーワードに、JTBと個人ユーザーのつながりを強めるだけではなく、「地球」を舞台に個人・法人・地域のお客様同士のつながりを増やすことで、交流が持つ力を広く波及させています。具体的には「ツーリズム」のほか、「エリアソリューション」「ビジネスソリューション」という3つの事業戦略をかけあわせ、より高いレベルでの交流創造に取り組んでいます。

特に「ツーリズム」は、企業や地域の持続可能性も見据えた交流事業です。だからこそ、旅行の枠組みにとどまらず、いち早くビジネスモデルを転換させてきました。

お客様の実感価値を、これからも 

かつての大量輸送型のパッケージ旅行が主流だった時代には、1人でも多くの方に旅行に行っていただくことが目的でした。しかし、世の中が「大量消費大量輸送」の時代から、「サステナビリティ」に移り変わるなか、お客様や地域のみなさんが満足できるものは何か再度考えるようになりました。

コロナ以前、増え続けるインバウンド需要は各地の観光ビジネスを加速度的に推進した一方で、「オーバーツーリズム」と呼ばれる観光公害を生み出してきました。観光客が増えて地域にお金が循環するのは歓迎すべきですが、観光客の増加やマナーのトラブルは、地域住民の生活の低下、ゴミ・CO2の増加などを招いてきました。

こうした状況のなか、私たちが持続可能な地域の自然や文化の保全に向けて動き始めたのは、当然の流れでした。例えば、沖縄の行政関係者や宅配・交通業者との連携による「手ぶら観光」の促進や、路線バスの周遊バス券の開発など、慢性的だった渋滞などの観光課題を解決したのも、持続可能な地域環境と観光の実現に向けた取り組みの1つです。今後はエリアに点在するコンテンツを結びつけ、地域の持続可能な成長に貢献したいと考えています。

すべての事業で私たちが大切にしているのは、「お客様の実感価値」です。価値はお客様それぞれが感じるものなので、時代の変化によって提供するサービスや商品の中身も変えていかなければいけません。長年のお付き合いの中で地域との密着も深い私たちは、地域の方々が何に困っているのか、それを解決するためにはどうしたらよいかを考え、地域とのビジネスを変容・拡大させてきました。

先ほど述べた3つの事業戦略のうち、「エリアソリューション」はまさに地域との共創から地方創生ソリューションへと広がってきた事業です。旅行の目的が今まで以上に交流に変わったいま、目指すのは地域目線に立った交流関係人口の創出です。そのためには、魅力的なコンテンツを地域の事業者や自治体とつくり、交流人口を増やすことが大切です。

「エリアソリューション」のマップ図

また、ふるさと開発事業部による「ふるさと納税」や、地域の特産品の販売、交流拠点施設の運営から、人財のアウトソーシング、出版ビジネス、プロモーションなど、地域と自治体・観光事業者を巻き込んだツーリズムのプラットフォーム機能として、地域の魅力発信と持続可能性の拡大も私たちの大切な役割です。

「ビジネスソリューション」は、こうしたソリューションの幅広さや人財を軸に、企業におけるお客様の課題を解決する事業です。エンゲージメントを大切に、デジタルと人財活用の両輪でお客様の課題解決に寄与しています。

私たちはコロナ禍で大打撃を受けたツーリズム産業のサポートにも力を入れていますが、そのやり方にもJTBの理念が明確にあらわれています。

SDGsは誰かに強制されてやるのではなく、一人ひとりが自発的にコミットしていくものです。未来をよくしたい、あらゆる人が幸せにくらせる社会であってほしいと思いながら動くことが大切で、私たちが「SDGsをやろう」と観光業界を引っ張るのではなく、まず私たちがしっかり体現し、共感いただけるお客様やパートナーと共に、交流を通じてツーリズム産業の発展を目指していきたいと考えています。

お客様に価値あるサービスや商品を創造し続けるには、社員一人ひとりが能力を発揮し、それがかけあわさった組織力も欠かせません。こうしたことから、JTBではSDGsに対する理解を深める教育プログラムや社員教育など、社員一人ひとりの「自分ごと化」にも力を入れています。

「つなぐ・つなげる」存在であり続けるために

 私たちの根幹である「交流」を事業の軸にするには、多様な視点でものを見ることが何よりも大切です。

各人や地域によって価値観は異なるもので、私たちがいいと思っても、サービスを受ける側がいいと思うかどうかはその人でなければ分かりません。だからこそ、SDGsが掲げる『誰も取り残さない社会』の実現にも、多様な視点や価値観を持たなければいけない場面が必ず出てくるのです。

お客様一人ひとりに最適な旅を提案するには、「Tourism for All」を掲げ、年齢、性別、国籍、障がいの有無にかかわらず、安心して利用してもらえるユニバーサルツーリズムの実践が求められます。

コロナ禍でオンライン化が進んだことで、日本にいながら海外旅行気分が楽しめる新しい「旅」の提供や、自由な働き方、ライフスタイルを提案するプランなど、これまでになかった事業も生まれました。こうした提案も多様な価値観を受容し、お客様に寄り添い続けたいと感じていたから実現できたことだと考えています。

JTBでは社員の多様な視点を尊重するために、女性活躍におけるバイアスの解消や、育児・介護と仕事の両立に向けた職場でのコミュニケーションのあり方、多様な性のあり方への正しい理解促進などにも取り組んでいます。

サステナビリティのベースには、ダイバーシティが欠かせません。そう考える私たちは毎年、JTB Diversity Weekを実施し、女性活躍のパネルトーク(なでしこフォーラム)や障がい者との交流拡大(チャレンジドサミット)の他、優れた事例の表彰を通じてグループ全体で理解を深めるなど、ダイバーシティ経営に基づいて社員一人ひとりの本質的な理解を深めてきました。

こうした私たちの姿勢は『ダイバーシティ経営企業100選』の認定をはじめ、くるみん、えるぼし認定などの表彰にもつながっています。

なでしこフォーラムのトークフォーラムはオンラインで開催

また、SDGsの目標達成には、パートナーシップも欠かせません。

スポーツの領域で協賛した2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、コロナ禍による開催延期や直前での開催方法の変更など、課題に直面する毎日でした。しかし、政府関係者や業界のみならず他業界との連携により、無事大会開催を実現することができました。アスリートの方々の思いのこもったパフォーマンスは、世界中の人々に感動と勇気を与えました。そんな感動創出のお手伝いに私たちが少しでも関わることができたのは、社員にとってもモチベーション向上のよい機会になりました。

また、「信濃おおまち みずのわプロジェクト」は、SDGs未来都市として2020年7月に国から選定されている大町市との産学官金連携によるプロジェクトです。今後もサントリーと協業して天然水の工場を軸に、さまざまな地域活性施策を実施していきます。

みずのわプロジェクト発足時の様子

観光客に対し、訪問地のサステナビリティに関する理解促進も働きかけるために、持続可能性に貢献している事業者と連携の強化やサステナビリティに関する支援もさらに強化していこうと考えています。

例えば「JTB地球いきいきプロジェクト」は、お客様や地域のみなさまとJTBグループの社員が一緒になった観光地での清掃活動として、40年以上も続いている取り組みの一つです。このように、自然環境の保全活動や歴史・文化の学習体験など、今後もさらに地域の特色を活かして未来を創造していくプログラムを提供していきます。

「JTB地球いきいきプロジェクト」の概要
※2012年の改称前(1985年)から、のべ参加人数は13万人以上

感動とは、常にお客様の期待を超えること

今では小学校からSDGs教育が始まっていますが、私たちもサステナブルな社会発展のための次世代教育に力を入れています。

SDGsの取り組みはもともと、地球の未来に向けて課題を解決する手段です。その担い手になる若者がより「自分ごと」として主体的に行動できるようになるためには、早い時期からサステナビリティに関する課題を認識し考えることが重要です。修学旅行や研修旅行など、これまでの教育事業のノウハウを活かし、日本のみならず世界の事例を学べるSDGsプログラムの提供も、SDGsのゴール達成に当社が貢献できる取り組みの一つと考えています。

私たちが創造する交流は、数多くのプラスの効果を生み出す一方で、人の移動によるCO2排出量増加などのマイナス影響も生み出します。そうした環境負荷や人権問題等のリスクを回避するのも、企業責任として乗り越えなければいけない課題です。

イベントや会議で排出されるCO2をゼロにする「CO2ゼロMICE」は、私たちが取り組む「ビジネスソリューション」の一環です。世界各地で気候変動による自然災害が多発している今、脱炭素社会の形成による対策は必須かつ急務とされています。企業が取り組むSDGsの取り組みを支援し、次世代における脱炭素社会の実現を目指すJTBでは、会場で使用される電気を再生可能エネルギーに置き換えることで、CO2を実質ゼロにできるサービスを提供しています。

3つの事業領域は、SDGsが目指す未来につながていく

「感動は常にお客さまの期待を超える価値を実現して得られる」というのも、JTBが大事にしている考え方です。

デジタル時代であっても、人々が自ら実際に体験や交流することで得られる「感動」の価値は薄れることはありません。私たちはこれからも交流創造事業を通して、個人、法人のお客様、そして地域、社会のツーリズムを取り巻くさまざまなステークホルダーのみなさんと深い「つながり」を築きながら、それぞれの課題解決や成果を実現し、「感動」を届けていきます。  

こうした「感動」を届けることができるのは、社員一人ひとりが持つ「人間力」があるからです。デジタル基盤の上に人財の強みを生かしながら、これからも変わりゆく新しい時代を敏感に捉え、お客様に「価値」と実感いただけるサービスやソリューションの提供を追求していきます。

株式会社JTB 
取材日:2021年11月17日
代表取締役 社長執行役員:山北 栄二郎
創立:1912年3月12日
設立:1963年11月12日
事業内容:旅行(企画提案営業・店頭営業・訪日インバウンド・メディア販売・Web販売・商品企画・BTM)/地域交流/イベント/出版/商事など

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