【広島県環境保健協会】一人ひとりの健康に寄り添う

協会理念は「みんなの生命(いのち)をまもりたい」。それを達成するには職員の健康が前提だといいます。戦後の混乱した社会から長きにわたり、広島県環境保健協会が取り組んできた健康経営について、話を伺いました。

広島県環境保健協会の健康経営チームメンバー

理事長 佐藤均さん

働く人の健康を支援するだけではなく、職員が日々幸せを感じられるような幸福を見出せる職場環境をつくることが必要だと考えます。健康経営に加え、ウェルビーイング(心の健康)を追求したいですね。

保健師 松本玲子さん

当協会の職員だけでなく、クライアント企業様へも健康経営を提案しています。会社によって課題が異なるのでいつもオーダーメイド。地道な取り組みが実を結び、健康への意識が変わった例を見るのは嬉しいです。

経営管理センター 総務課 横見和信さん

医師や保健師、管理栄養士など予防医学のプロフェッショナルが職員として在籍しているため、健康経営の施策に関して的確なアプローチができます。他の企業では見られない、当協会ならではの強みです。

地域活動支援センター 地域支援課 住田典子さん

自分の心がけだけではなく、地域のサポートがあれば健康づくりはもっと楽しく効果的になります。その地域の活動を支えるのが私たちの役割。健康活動で絆が生まれるプロセスに関われるのが喜びです。

広島県環境保健協会はこんな会社!

戦後始まった、行政と地域住民が一体となった予防衛生活動がルーツ。

検査や環境保全といった公益活動を事業展開しています。蓄積されたノウハウを活かし、健康診断、人間ドック、健康経営支援、コンサルタントなど、社会情勢の変化に応じて活動内容は多岐にわたっています。

時代とともに変化しながら地域の健康に貢献する

広島県環境保健協会の歴史は戦後まもないころから始まりました。社会がまだ混乱していて、極度に悪化していた衛生状態を改善するための力がなかった時代です。そのときに立ち上がったのが「自分たちでできることをやろう」という地域の人々。行政の助けも得て、各地の市町村単位で公衆衛生推進協議会が生まれ、DDTという消毒剤をまくなどして衛生状態を改善するとともに地域の環境を守る運動が始まったのです。広島県でこの連合体の事務局として広島県地区衛生組織連合会が誕生したのが1957年、それが今の広島県環境保健協会の前身です。

こうした生い立ちもあり、広島県環境保健協会は公共に貢献する意思を強く持っています。「設立当時は、各地区の公衆衛生活動を資金面で支えるために診療所をつくったり、公害が社会の大問題になった時代には公害センターとして水質や大気の検査を担ったり、食の安心・安全を守るために食品の検査をしたり幅広い活動をしています」とは佐藤理事長。地域社会の人々が安心して暮らしていけるよう、健康と環境を守る取り組みは地域の活動を支援するための収入源であると同時に公益事業でもありました。

その間に任意団体から社団法人、そして現在は一般財団法人として、地域の健康と環境を守る取り組みを続けているという、全国でも珍しい団体です。

現在、広島県環境保健協会は管理部門を受け持つ『経営管理センター』、公衆事業を行う『地域活動支援センター』、収益事業を行う『健康科学センター』と『環境生活センター』の4つに分かれて活動しています。収益事業である健康科学センターは、人間ドックや定期健康診断、保健指導などの予防に取り組み、県民の皆様の健康寿命の実現を目指しています。環境生活センターでは、飲料水や食品、環境保全に関わる広範な検査分析を行っています。

1958年に季刊誌『公衆衛生』を創刊。リニューアルを経て『環境と健康』に名称が変わり、現在に至るまで発行を続けています。

さらに、どちらのセンターでも、各種コンサルタント事業を展開し、自治体や企業などが抱えている環境や生活に関わる課題解決の支援を行っており、『健康科学センター』と『環境生活センター』の収入をもとに公衆衛生推進協議会の活動を支援しています。

「『人の体の健康』と『環境の健康』をセットで支援できるのが当協会の特色です」と語るのは佐藤理事長。ほかにはない強みをもって地域と企業に貢献しています。

例えば、広島県には中山間部や離島などの地域の住人の健康維持という課題があります。「こうした地域には自分たちの手で健康・環境づくりを実施していこうという公衆衛生推進協議会が存在しますが、そのリーダーに環境と健康に関する情報をお伝えし、支援するのも私たちの重要な役割です」と、地域活動支援センターを担当する住田さんが教えてくれました。

公衆衛生事業の推進、生活環境保全の取り組みが認められ、1965年には「保険文化賞」を受賞。1972年には内閣総理大臣表彰を受けました。

重大な病気から職員を守りたいという思い

広島県環境保健協会が働く人の健康に注目し、これを守ることが健全な経営に欠かせないとして「いきいき健康づくり」「安全安心な職場づくり」「明るい職場づくり」を重点方針としたのは2015年。「健康経営」という言葉が世の中に広まるよりも早い時期でした。

働く人の健康状態は自己責任とされ、健康診断があっても受ければそれで終わりといったように形骸化している企業がまだまだ多かった当時。健康診断で「要二次検査」や「要治療」とされても受診することなく重大な病気が見落とされる例が見られていました。まだその名がなかったものの、「健康経営」に乗り出したのは同協会ではそのような状況はあってはならないと考え、二次検査の受診率を100%に上げることで病気への進行を予防したいという思いが発端となりました。

「職員の健康度を上げていくために、現状を把握することが先決です。当協会は自身で健康診断を実施していることが強みですので、全体の健康状況を把握するための集団分析ツールとして『企業健康れぽーと』というものを作成しました。結果をもとに健康課題を抽出し、改善のための取り組みを実施。その効果の検証として健診データの経年変化をみていきます。『受けて終わり』ではない、健診本来の効果を生み出しています」(松本さん)。

このように先んじて健康経営に乗り出した広島県環境保健協会は、自らだけでなく県内の企業の健康経営に向けた取り組みのサポートもしています。それぞれの企業に届けている『企業健康れぽーと』は30ページ以上にも及ぶ詳細なものになり、企業からの悩みや課題など、ヒアリング結果と照らしあわせて問題点を抽出し、改善提案と優先度に応じたサポートまでを行います。

健康経営という枠組みの範囲を広げ、地域社会の健康づくりに取り組んだのが、キャラバンフィットネス事業です。「フィットネスクラブがなく、運動の機会をつくるのが難しい広島県の中山間部などに、指導員がキャラバン隊となってフィットネス器具を持って訪問し、地域住民に運動習慣をつけてもらうことを目的としたものです。これは、広島県の女性が健康寿命ランキングの下位に入ってしまったことがきっかけで誕生した事業で、これにより運動不足の解消が促進されただけでなく、フィットネス仲間や指導員とコミュニケーションをもつことによってメンタル面の健康度が上がったというメリットも生まれました」(住田さん)。

キャラバンフィットネス事業は、いまや社会問題となっているフレイル(加齢により心身が衰えた状態。素早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があるといわれる)の予防にも直結するため、高齢者の住民が熱心に取り組んでいます。

このように、自分たちが取り組む健康経営がビジネスとして他企業へ、公益事業として地域へと広がっていることがほかには類を見ない特徴だといえるでしょう。

ほかにもマラソンやウォーキングなど、地域の運動系イベントへの参加を促しています。その費用は協会で負担。

コロナ対策でのフットワークの軽さと「公」への波及

このような健康・環境に貢献する協会理念が存分に活かされたのが、新型コロナウイルス対策でした。2020年、ダイヤモンド・プリンセス号で新型コロナウイルスが蔓延し、死者が出たことにより、広島県環境保健協会ではいち早く対策委員会を設置しました。健康診断事業を行っているため、人との距離が近く、感染のリスクが高いと危機感を持ったことが感染対策に力を入れる契機でした。そこでまずは感染対策のガイドラインを作成。これは緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが発令されるたびに更新を続け、現在では13番目とバージョンを重ねています。

「感染予防対策としてまず行ったのは、ワクチン接種。これは2021年5月ごろから地域の医療関係者、職員、協会診療所を受診する患者さんや健康診断に訪れた人たちを中心とし、進めました。そして、ワクチンを接種して体内に抗体をつくるとともにもうひとつ重要なPCR検査。

「これは、欠かせないことはわかっていながらも、感染の可能性が高い人が来院するため、万全の感染対策をした施設が必要となります。しかし、残念ながらその場所は見つかりませんでした。そこで生まれたのが、車を改造したPCR検査室です。今となっては珍しくもありませんが、これなら感染対策は比較的簡単ですし、なにより要望があればどこへでも行くことができるため、PCR検査難民が多くいた早いうちに導入を決めていました」(横見さん)。

PCR検査機器を載せた検査車両を導入。車両の吸排気にへパフィルターを完備し感染対策も万全。

“みんなの生命(いのち)をまもりたい。私たちは、健康づくりと住みよい環境づくりに取り組み、地域社会の発展に貢献します”という基本理念に基づく広島県環境保健協会の健康経営は、柔軟な思考と軽いフットワークに裏付けられています。

設立:1957年(「広島県地区衛生組織連合会」として設立)
事業内容:地域の環境保健に係る組織的実践活動の支援・育成、環境保健・生活科学に関する検査・分析・測定事業他
事業所:本部、東部支所、吉島分室、大阪営業所

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