【株式会社ゼロエミッション】「捨てない」という選択で持続可能な社会を実現する

廃棄物ゼロを目指した循環型社会の実現に向け、新たな資源や余分なエネルギーを消費しないビジネスを展開。身近にできるエコロジーとして「リユース」事業に取り組んでいる。

ビジネスで循環型社会に貢献

ゼロエミッションは、首都圏を中心に『ハードオフ』『オフハウス』『ホビーオフ』『ブックオフ』などのリユースショップを、85店舗運営している会社です。社名の「ゼロエミッション」とは、廃棄物ゼロを目指した資源循環型社会を表す言葉です。また「ゼロ」には、「自然界をこれ以上破壊したくない」という創業者の村内忠壽の強い思いが込められています。

村内は、大型電気店で専務を務めていた時代から、何でも新しく買い替える消費活動に疑問を持っていたといいます。「環境負荷を減らしていくために、何か自分にできることはないか」と考え、新たな資源や余剰なエネルギーを消費しない「リユース」に着目。そこから独立して、ハードオフコーポレーションのフランチャイズとして、ゼロエミッションを立ち上げました。

当社が経営理念に掲げているのは「4つのテスト」です。仕事をする時には、「社会のためになるか、お客さまのためになるか、社員・スタッフのためになるか、そして会社のためになるか」という4つの条件を満たすかを常に意識しています。

お客さまが使わなくなった物を買い取ってクリーニングし、そのままのかたちで販売するリユースは、持続可能な経済システムとしていま最も注目されている「サーキュラーエコノミー」の核となる事業です。従来、メーカーは資源から製造販売し、消費者は一定期間使ったら捨てて新しい製品を買うという一方通行でした。

しかし、こうした経済活動を続けていけば、いつか資源は枯渇し、環境破壊も進んでしまいます。実際に、地球規模での気候変動は喫緊の課題となっています。年々激甚化が進む自然災害は温暖化が原因ともいわれ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)では、これからも化石燃料を大量に使い続けていくと、今世紀末には平均気温が約4℃も上昇すると報告されています。

環境破壊を防ぐための方法としてリサイクルがよく知られていますが、リサイクルは、再資源化するためにエネルギーや資源を使い、CO2などの地球温暖化ガスが生じてしまいます。これに対しリユースは、製品をそのまま使い続けられます。

当社では、社名の「ゼロ」が表すように、廃棄物を発生させない構造を確立してきました。リサイクル中間業者と提携して売れ残った商品を買い取っていただき、細かく仕分け、部品素材としてリサイクル業者に販売してもらう仕組みは、創業間もないころから構築しました。

このパートナー企業の社長は、もともと当社のお客さまでした。もとは『ハードオフ』の店舗内の「ジャンクコーナー」で壊れた製品を購入して修理したり、部品を抽出して販売していました。そこから当社と提携して、廃棄物を出さない循環を生み出しています。

また、当社ではレジ袋が有料化される1年以上前から「地球を守るためのレジ袋有料化」を宣言し、レジ袋削減にも取り組んできました。このように、廃棄物の減少や余剰資源の消費削減により、大気汚染・土壌汚染・海洋汚染を減少できると考えています。

当社の創業の精神の一つに、「100年後200年後の世代も、美しい青い空ときれいな水、豊かな緑の3つを守る」というビジョンがあります。私たちは事業を通して、海の豊かさと陸の豊かさを守り、気候変動に大きく関わる大気構造の変動速度をこれ以上進行させないことを目指しています。

ゼロエミッションだからこそ実現できる、循環型社会がある

多様な人材が活躍できる場の提供

当社が事業を進めていく上で、一番重要視していることは人材です。これからの企業成長には、社内における人材の成長が欠かせません。創業の精神にもある、環境問題に対する意識や、経営理念の実現に向け、どう行動していくかなどを社内研修でていねいにお話しています。

昨年からは動画での研修も取り入れて、いつでも勉強できるようになりました。年間おおよそ60回程度のプログラムを行えるような体制を整え、正規社員・非正規社員に関わらず、受けたい人が何回でも受講できるのも特長です。

当社ではオールジャンルのユーズド品を扱っているため、レアものやヴィンテージ品に出会える機会も多く、この貴重な商品の機会創出に喜びを求めるスタッフさんもいます。このような人も、研修を受ける中で商品だけでなく、自分たちの仕事がどのように社会貢献できているかを知り、さらに仕事に対して誇りとやりがいを見出していると感じています。

さらに、当社では不平等や格差減少に配慮した職場環境を目指しています。障がいのある弟がいる私は、子どもの頃から「多様な」環境を当たり前として育ってきました。性別や国籍、障がいのあるなしに関わらず、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて取り組むことは、企業の責任だと思っています。

現在は、障がい者施設と提携して物品のメンテナンスや仕分け業務を委託しているほか、国籍や年齢を問わず多様な人材採用に取り組んでいます。昨年、当社の経営理念に共感し「SDGsの実践をしているこの会社で働きたい」と応募してきた外国人を正規社員として採用しました。

外国籍のアルバイトスタッフは何人もいますが、正規社員では初の雇用です。この例のように、多様な人材雇用の輪を広げていきたいと思っています。

ゼロエミッションで働く外国籍の正規社員

「家族に自慢できる」会社にしたい

今後力を入れていきたいのは「アップサイクル」事業です。

例えば、結婚式の引き出物などでもらうようなワイングラスは、リユース品としてはなかなか売れませんが、特殊加工でアートを施し、少し手を加えると売れるようになります。障がい者の方を含めて、こういったことが得意なスタッフさんもいるので、さまざまな意見やアイデアも取り入れながら楽しんで進めていけたらと思っています。スタッフさんが楽しみながら取り組むことにより、お客さまにも楽しんでいただける雰囲気が醸成できるはずです。

例えば、18年にホビーオフ八王子大和田店で行なった、ペットボトルのキャップを使って文字を完成させる「キャップアート」は、お客さまと一緒に取り組んだ環境活動の一つです。キャップの色を指定したパネルを店頭に設置し、キャップを配置すると『ホビーオフ』の店名ができあがるようにしたところ、多くのお客さまから賛同いただき、予定より早く作品が完成しました。ゴミになるはずだったキャップが、お店の看板に「アップサイクル」したのです。

たくさんの方に関心を持っていただけたことから、第2弾として、『ハードオフ』『ブックオフ』の文字を完成させる「キャップアート」を展開したところ、こちらも大きな関心を集めています。

お客さまと一緒に取り組んだ環境活動

当社では創業時から今日まで、「SDGsに取り組んでいる」という意識はありません。「自然をこれ以上壊したくない」という創業からの変わらぬ思いを、愚直にビジネスで実践しているだけです。私が社長に就任した8年前、新年の挨拶で「みなさんが家族に自慢できる会社にする」と宣言しました。

その時の「約束」が果たせたかどうかは分かりませんが、例えば当社は外務省が推進する「JAPAN SDGs Action Platform」のSDGs取り組み事業として外務省HPに掲載していただきました。この背景には、「SDGs」という概念が登場する以前からずっと「リユース」事業を行い、「SDGs」の概念が広まる過程で、当社の取り組みも認められてきたのかなと思います。

先日、学校でSDGsを勉強した中学生の娘から「SDGsをしているなら、お父さんの会社はいい会社だね」と言われたときは、当社の方針が間違っていなかったと嬉しく思いました。

これからの地球環境やSDGsに向かう社会にとっても、働くスタッフさんにとっても、働きやすい、自慢できる「よい会社」であり続けるために、リユース事業の可能性をさらに広げていきたいです。

株式会社ゼロエミッション
取材日:2021年1月20日
設立:1997年5月
事業内容:リユース事業
資本金:4900万円
売上高:57億円(2020年度)
従業員:860名(2020年3月現在)
本社:〒192-0045東京都八王子市大和田町5-8-10
電話番号:042-644-2850
URL:https://www.zero-emission.co.jp

関連記事

  1. 【株式会社ベネッセホールディングス】誰もが「よく生きる」社会を目指し企業理念を起点にした社会貢献を

  2. 【株式会社アーバンリサーチ】「すごいをシェアする」取り組みでSDGsの輪を広げる

  3. 【トッパン・フォームズ株式会社】デジタルハイブリッドを加速し、未来を切り拓く

  4. 【ピジョン株式会社】この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にするために

  5. 【株式会社タウ】国内外で損害車の仕入・物流・販売ネットワークを構築し、業界トップシェア

  6. 【大日本住友製薬株式会社】製薬企業として人々の健やかな未来のために挑み続ける