【株式会社アーバンリサーチ】「すごいをシェアする」取り組みでSDGsの輪を広げる

アパレル企業としての個性を活かし、衣食住を絡めてライフスタイルを提案するアーバンリサーチ。SDGsの基本方針として「3C」というヴィジョンを掲げ、社員一人ひとりが問題意識を持ってさまざまなアプローチを推進。クリエイティブかつポジティブなスタンスで未来に向かっている。

SDGsを自社の伝統にしていく 

アーバンリサーチは「すごいをシェアする」という企業理念のもと、ライフスタイルを絡めてウェアやグッズを提案しているアパレル企業です。社名の通り、街を見つめて時代のトレンドを探り、クオリティとオリジナリティを両立したプロダクトに価値を見出し、その感動と品質を多くの方々とシェアすることを目指しています。

当社は「伝統は革新の連続」という考えを持ち、時代の変化にフレキシブルに対応してきました。SDGsに関しても、これから伝統にしていくためのプロセスの只中だと感じています。 

思えば当社は、SDGsという概念が社会に浸透する以前から、この言葉に該当するような取り組みを推進してきました。その一つが、2011年にアパレル企業数社が発起人となりスタートした「東北コットンプロジェクト」です。

東日本大震災の津波により、稲作が困難になった農地にコットンを植え、紡績、商品化、販売までを一貫して行ってきました。当社にとってSDGsは、我々が進むべき方向を示す道標のような存在です。アパレル企業の視点から、「すごいをシェアする」という企業理念に基づく取り組みを実施していきます。

問題意識を持ち、共感し、行動に移す 

当社がSDGsの言葉をはじめて使ったのは、2018年9月です。同年11月には、SDGs推進のためのプロジェクトチーム「SDR(サステイナブル・ディベロップメント・リサーチ)」を結成。議論を重ね、2019年12月に、当社のSDGsに関する基本方針「3C」をとりまとめ、発表しました。

「3C」とは、Clothing Innovation (衣料資源の有効活用)、Clean Earth (地球環境負荷の軽減)、Community Building (コミュニティの形成)の3つの頭文字で構成されているビジョンです。

SDGsの推進にあたって大切なのは、一人ひとりの社員が問題意識を持つことです。問題意識が共感へ発展し、何かしらの行動へと移していくのが理想的なプロセスといえるでしょう。当社では、2020年からSDGs関連の取り組みを紹介する社内報「SDR通信」を配信していますが、これにより社内におけるSDGsについての認知度が高まりました。

また、最近ではSDRのチームにSDGsに関するさまざまな相談・意見が舞い込むようにもなってきました。 

また、ステークホルダーの皆さまとの間に信頼関係を築くことも課題の一つです。このことが、アパレル企業としてのブランド力向上や、継続的な成長につながっていくと確信しています。

commpostとは、共有や共同を意味する「common (sense)」と郵便や標柱を意味する 「post」を組み合わせた造語

アパレル企業ならではの視点でSDGs施策を推進 

ここから、基本方針「3C」に基づく具体例をいくつかご紹介します。

一つ目に取り上げるのは、廃棄衣料のアップサイクルを目指すサステイナブルマテリアル・プロダクトブランド 「commpost( コンポスト)」です。現在、日本における廃棄衣料の量は年間100万トンと言われています。

当社も例外ではなく、2017年からその解決方法を模索し始めています。同時に課題となっていたのは、障がい者の法定雇用率の問題です。

当時は新規出店が多く、全社的に採用人数が急増。障がい者の法定雇用率2.2%(2021年1月現在)を達成するのが難しい状況にありました。仮に雇用できたとしても、その特性を活かせる部署の定員が埋まっていたため、新たな仕事を創出する必要があったのです。

2つの問題を同時に解決するため、大学教授や福祉コンサルタントといった方々と議論を深める過 程で出会ったのが、研究者グループ「Colour Recycle Network 」と、(i)NPO法人「暮らしづくりネットワーク北芝」です。

廃棄繊維を色別に分けてアップサイクルする技術を考案したカラーリサイクルネットワークとのパートナーシップによって、新素材および新製品の開発に成功。その製造を暮らしづくりネットワーク北芝に依頼したことで、障がい者をはじめとする就労困難者や地域住民との協働が実現しました。 

第1弾目として発売した「MULTIPURPOSE BAG」はその取組内容が評価され、2019年12月に開催された「第7回環境省グッドライフアワード」において、実行委員会特別賞を受賞しました。おかげさまで売れ行きも好調で、当社の廃棄衣料だけでは原料を賄いきれなくなっています。

今後はお客さまに対し、当社で不要になった衣料品の回収を呼びかけるなど、廃棄衣料を減らしていきたいと考えています。


 (i) 大阪府箕面市・萱野地域にて、地域の課題解決に向けた活動をサポートするNPO法人

2018年より学生を対象として、グリーンダウンを使用した製品のデザインコンペティションを開催している

二つ目は、不要になった羽毛製品を回収してリサイクルする「Green Down Project」です。一般 社団法人が運営し、趣旨に賛同する企業・団体が参画しており、当社もその一員です。 

羽毛は洗い直せば100年使える循環素材とも言われますが、不要になるとそのまま廃棄されることがほとんどでした。そこで当社では、2015年10月より一部店舗にてダウン製品の回収をスタートしました。

ダウン製品から取り出す羽毛は、洗浄・精製加工することで新毛よりもキレイな再生羽毛へと生まれ変わります。その再生羽毛を使い、新商品を製造・販売することで、循環サイクルの実現に貢献しています。

暖冬でダウン製品の売り上げが不調の年も、グリーンダウン関連商品は安定した売れ行きを見せています。取り組みに対するお客さまの共感が、購買行動にもつながっているのではないでしょうか。

さらに、次世代のアパレル業界を担う学生の皆さまを対象に、再生羽毛を使ったプロダクトのデザインコンペティションを開催。入賞作品を製品化しています。

2020年までに3度開催しましたが、回を重ねるごとに応募者数が増加しており、自由なアイデアが多く集まっています。学生の皆さまからのレスポンスで「環境問題について考えるようになった」という言葉をいただけるのもうれしいのですが、社内のデザイナーからも「学生のデザインに対する純粋な思いに刺激され、クリエイティブの原点を思い出した」といった反応があり、関わる人々に良い影響をもたらしています。

三つ目は、ローカルコミュニティの活性化を目的とする「JAPAN MADE PROJECT」です。日本各地のクリエイターとともに地域の魅力を再考、発信し、経済や雇用に貢献していきたいと考えています。これまでコラボレーションしてきた地域は、長崎、石川、熊本、東北、京都、東京の6エリアです。

例えば東北では、宮城県石巻市で漁業を営む方々と協業し、漁師の担い手が減り続けている現状を踏まえ、カッコいい「漁師ウェア」を開発しました。

長崎では現地の企業やクリエイターとともに、地元の魅力を伝えるプロダクトを制作。この取り組みを高く評価していただき、長崎市が推進する「長崎創生プロジェクト事業認定制度」に、県外かつアパレル企業として初めて認定していただきました。

このプロジェクトはあくまでコミュニティとともに共創していくものなので、各地域でベースが異なることも特徴といえます。今後もご縁があれば他の地域でも協業していきたいと考えています。

このほかにも、サステイナビリティと感動を追求した異種複合型の新業態「THE GOODLAND MARKET」の展開、生産量の適正化、ペーパーレス化といった取り組みを行っています。また、障がい者のインクルージョンを推進する国際的な運動「The Valuable 500 (V500)」にも参画しています。こうした活動に共感していただける方々、ぜひ私たちと一緒に「誰も取り残されない社会」の実現を目指しましょう。

株式会社アーバンリサーチ 
取材日:2021年1月14日
設立:1989年11月 
事業内容:メンズ・レディースウェアなどの企画・販売・製造及び付随業務 
資本金:1000万 
売上高:680億円(2020年1月期) 
従業員:約1500名 
本社:〒550-0003 大阪府大阪市西区京町堀一丁目6番4号 アーバンリサーチビル 10F 
電話番号:06-6445-7000 
URL:http://www.urban-research.co.jp/

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