【アーティクルキャリー株式会社トーコー】建築資材を保管・輸送、スポーツ事業部による地域貢献

  • 設立    1980年4月(創業は1968年3月)
  • 資本金   2600万円
  • 従業員数  140名
  • 事業内容  一般建築資材輸送
  • 本社住所  埼玉県比企郡川島町角泉567
  • 電話番号  049-299-0234(代表)
  • URL    http://www.ac-toko.com

埼玉は全国各地とつながる高速道路へのアクセスも良く、大手企業の工場や物流センターなども多い地域だ。現在、物流や運送業界ではドライバー不足が深刻な問題だが、人材確保に向けて新たな取り組みをしているのが「アーティクルキャリー株式会社トーコー」である。同社について、執行役員物流営業部部長の加藤大志氏と、スポーツ事業部スタッフ稻田和夫氏に聞いた。

サッカーを通じて地域貢献と人材確保、物流業界のイメージを変えたい

朝霞市にあるサッカースクール。引退した選手の受け皿と若手の人材確保に役立っている。

当社は、外構石材・材木外装の壁材など、メーカーから運ばれてくる建築用の資材を、5000坪の敷地や自社倉庫で保管し、仕分けして、各地の建築現場へ運ぶのが主な仕事です。2トン車から13トン車までさまざまなトラックや、クレーンを搭載した通称「ユニック車」などで、ベテランのドライバーが各現場へ安全に資材を輸送しています。

完成した建物の前を通った際には、当社のドライバーたちが「これは自分たちが運んだ資材で作られているんだ」と誇らしげに話しています。

また、現在営業部長を務める加藤が元プロサッカー選手であることから、2017年にスポーツ事業部を立ち上げ、サッカースクールを開校。サッカー好きの若者を雇用することで、物流業界の人材確保と、地域貢献に役立っています。

サッカー選手引退後の受け皿と若手の人材確保

2017年6月に当社が埼玉・朝霞市に開校した「ACT(エーシィーティー)サッカースクール」では、約50名の子どもたちを指導しています。指導者は、当社物流営業部長であり、元プロサッカー選手で現在は武蔵大学サッカー部監督でもある加藤大志をはじめ、元プロサッカー選手や、長年サッカーをプレーしてきた人ばかりです。

スポーツ事業部の立ち上げは、加藤がプロサッカー選手を引退し、家業である当社に入社したことがきっかけでした。加藤は、創業者で社長を務める加藤廣志から「常に新しいことを考えておけ」と言われ、若手を育成し、ドライバーが不足しないための対策を考えました。

プロサッカー選手は、プロ野球選手よりも選手寿命は短く、20代後半に引退する人が多いです。その後、チームに残って指導者になるのはごくわずか。加藤は、かつてのチームメイトや他チームの選手たちのことを思い、「スポーツ選手は根性もあるし、人とコミュニケーションをとるのも上手いから、当社に入ってくれればいいな」と考えました。

しかし、華やかなプロサッカーの世界から、いきなり物流会社に就職する人はなかなかいません。このため、引退したサッカー選手が第二の人生でもサッカーに携われるように、サッカースクールを立上げました。

現在、スポーツ事業部担当者は、午前中に物流の仕事をして、午後からサッカースクールの指導など、サッカーに関わる仕事をしています。この事業部を立ち上げたことで、若者が入ってきやすくなり、採用に関する問い合わせの電話も増えました。他社に比べて、人材は集まりやすくなったと思いますが、まだまだ不足しています。

これまでの中小企業の物流業者は、ドライバーが黙々と荷物を運ぶというイメージでした。しかし、ご存知のようにスポーツ選手は、明るくて話が好きな人も多いです。当社は、スポーツ事業部に集まる人材を活用し、特に営業を強化したいと考えています。古い体質やイメージのある物流業界を変えていきたいです。

ユニック車導入のさきがけで事業規模拡大

荷台にクレーン搭載の通称「ユニック車」などのトラックで建築資材を現場へ運ぶ

当社には、荷台にクレーンを搭載した通称「ユニック車」という車両が複数台あります。これを保有している物流会社は多くありません。この車両があると、ドライバーがクレーンで資材を下ろす作業をするので、建築現場の作業員の手をわずらわせることがなく、お客さまから喜ばれています。

1968年に「加藤運送」として創業した当社。当時、創業者の加藤社長は、トラックに材木を積んで建築現場へ運ぶ仕事をしていました。当時はあまり機械化されておらず、材木を1本ずつ人力で運んで荷台に載せ、トラックを運転して現場へ運び、再び人力で材木を下ろすという、とても労力のかかる仕事だったそうです。

当時の現場では、大工職人が墨付け(木材に加工をするための目印をつけること)をして運ばれた材木を切っていました。しかしその後、必要な長さ、必要な部分に釘穴が開いた状態に、機械で材木を切れるように機械化されました。それを見た加藤社長が「材木を機械で切れるのなら、運ぶ方も機械にした方がいい」と、当時まだ開発されたばかりのユニック車を導入。業界の中ではさきがけとなりました。

ユニック車を導入したことで、材木の積み下ろしに2時間程度かかっていたものが、15分程度でできるようになり、ドライバーの疲労も軽減。時間を短縮できた分、料金を下げて他社と差別化しました。

すると業界から注目されるようになり、材木だけではなく、ガラスメーカーなどからも依頼が来ました。こうして少しずつ規模が拡大し、創業時は従業員5名の小さい会社が、現在は140名になっています。

最も大切な品質は「安全」優良企業に認定

5000坪の敷地や自社倉庫を保有。大企業とも対等な関係で、新規取り扱い資材も増加。

物流や運送業界には会社がたくさんありますが、大手はわずか数パーセントで、最も多いのは10〜30名程度です。小規模な会社では、大規模な会社とお付き合いができません。当社は規模が比較的大きいので、大企業とも対等にお付き合いができます。

特にこの2~3年は大手企業との取引が多いです。お客さまに倉庫や資材置き場などの敷地を見てもらったりすると、「ここなら任せても大丈夫」と思っていただけます。業界内で当社の評判が口コミで広がり、新たなお客さまが増え、取り扱う資材等も増えています。

物流会社にとってのサービスの品質は、第一に「安全」であること。現場に資材を運んだ際、まずお客さまにケガをさせるようなことがあってはいけません。また、資材を運んだドライバーがケガをすれば、その現場のお客さまに迷惑をかけることになります。さらに、資材そのものに対する安全も重要です。資材を壊したりしないよう、どうすれば安全に運べるのかを考える必要があります。

ドライバーの安全教育は重要で、物流業界には安全に関するマニュアルがあります。また、毎月1回のドライバーミーティングや、毎朝のアルコール度数チェックなどが法律で義務付けられています。

当社のお客さまである大手資材メーカーでは、現場に関わる協力会社を招いて、定期的に安全についての会議を行っています。大企業では、中小企業ではなかなかできない安全に関する取り組みを行っており、その仕組みや方法を当社も勉強させてもらっています。ですから当社では、大企業に準じた安全への取り組みを実施しているのです。

当社は、優良な物流会社が認定される「Gマーク」を持っています。Gマークは、全日本トラック協会による認定制度。特に輸送の安全性向上の取り組みを実施したトラック運送会社が、一定の基準をクリアすると認定されるものです。トラックの後方部に「G」というステッカーが貼ってあるのを見たことがある人もいるかもしれませんね。

物流目線から発想した新規事業への挑戦も

現在、物流業界は好景気ですが、他業界と比べて年収はまだまだ低いと思います。当社の場合には、入社してしばらくは現場の仕事を経験してもらいますが、出世したい、チームのリーダーになって仕切りたいという人には、若手でも多くのチャンスがあります。

当社にはベテランのドライバーが多いので、若手が管理職になるのは難しそうに見えるかもしれません。でも、今は昔ほど厳しいことを言うようなドライバーはいません。スポーツをやっていた人なら、先輩との付き合い方を思い出してもらえればいいと思います。ベテランドライバーは、物流のことを詳しく知っている先輩です。わからないことがあれば何でも聞いて、一緒に考えて仕事を進めていける、頼りになる存在なのです。

「物を運ぶ」という仕事は、いつの時代も、どんな商売でもなくてはならないことです。これまで物流業界は、全てを人力でやってきた時代から、フォークリフトが登場して機械化が進み、さらにユニック車の登場によって積み下ろしがラクになるなど、効率化されてきました。当社は今後、もっと物流目線から発想した商品の開発・販売をするなど、新たな事業にも挑戦していきたいと考えています。

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