【金沢QOL支援センター株式会社】地域から創造する障がいのある人も活躍できる社会

  • 設立 2012(平成24)年1月
  • 事業内容 訪問看護・リハビリステーション事業、リハビリ型デイサービス事業、障がい者就労支援事業、リハスファーム、脳卒中・身体障がい者専門就労支援事業、介護事業所向け現場研修事業
  • 資本金 901万円
  • 従業員 134名 ※2020(令和2)年5月1日時点
  • 本社住所 石川県金沢市西泉1丁目149-1 スパーテルM1ビル2F
  • 電話番号 076-220-7257
  • URL https://k-qol.com
  • グループ会社 株式会社クリエイターズ

「人に必要とされ、人の役にたつこと」が人間の幸せであり、この追求において障がいのある・なしは関係ない。金沢QOL支援センター株式会社は「福祉が地域を支える社会の実現」をビジョンに、社会的弱者とされる障がい者や介護が必要な高齢者の人生の質の向上を支援する。同社は金沢と名古屋を中心に、医療専門スタッフによる訪問看護事業、デイサービス事業、就労支援事業、農福連携事業を手がけ、地域での新しい医療、介護サービスの創造に取り組んでいる。少子高齢化に悩む日本を”超高齢化先進国“と称し、日本発の福祉モデルを世界へ発信する構想を抱く、代表取締役の岩下 琢也氏に話を聞いた。

障がいを持った方が活躍できない社会への疑問

代表取締役 岩下琢也氏

幼い頃の私は先天性の心臓疾患と喘息に苦しみ、入退院を繰り返していました。辛くて大嫌いな入院を終えて自宅に戻った瞬間の嬉しさと幸福感は、大人になった今でも鮮明に覚えています。
成長にしたがい病気は完治しましたが、恥ずかしながら、高校時代はとても不真面目な学生でした。勉強も苦手といいますか、「勉強する目的」が明確ではなかったので、全くやる気がありませんでしたね。高校2年生のときは、ずっと寝ているか漫画を読むかで、授業中の記憶がほぼないという。ただ音楽や美術と部活は好きで、普通に取り組んでいたと思います。
そんな状況でしたが、高校3年生の夏に転機が訪れました。小さい頃に身近だった医療への憧れと母の勧めもあり、「自分の好きなことを通して困っている人を助けたい」と強く想い、作業療法士になる! と将来の目標を定めたのです。
それからは理数科目も勉強し、なんとか医療専門学校に受かりました。
「楽しいこと、好きなこと」「明確な目的・目標」があることが、今でも自分の原動力となっている気がします。
作業療法士としての最初の職場は、精神科の病院を選びました。なぜ精神科を選択したかというと、20代、30代の若い方の社会復帰を支援したいと考えたからです。ところが治療の現場には、若い世代の患者さん以外にも「社会的入院(在宅生活や社会参加が可能にもかかわらず、諸事情で入院生活を続ける状態)」を余儀なくされる、中高年の入院患者さんも存在しました。私は「精神科作業療法(精神障がいを持った方の社会復帰を目的としたリハビリテーション)」を行いました。しかし治療で症状に軽減が見られて退院されても再入院される方も多く、社会復帰されるケースは稀でしたね。2年後に職場を去ることになり40代の患者さんへ別れを告げたのですが、そのときかけられた言葉が当社の創業につながっています。 
「岩下さんが病院へ来てくれて入院生活が楽しくなったよ。ありがとう」。この言葉を聞いた私は、嬉しさと同時に悔しさと憤りを感じました。「社会的入院」で自立した生活の機会を失われるのは、障がいが問題なのではない、障がいを持った方が活躍できない社会こそが問題なのではないか、と強く思ったのです。「入院は嫌だ、家に帰りたい」と泣いた子ども時代の記憶と、目の前の患者さんの置かれている状況が重なりました。この方たちを社会へ帰してあげたい。障がい者も高齢者も、全ての人が自立して幸せに暮らせる社会を創ろうと考えて、2012年に金沢QOL支援センター株式会社を設立しました。
退院した患者さんの在宅支援をするための訪問看護ステーション「リハス」を最初に立ち上げ、2013年にはリハビリ型デイサービス「リハス」、2014年には障がい者就労支援センター「リハス」を開設しました。2018年には脳卒中・身体障がい者専門就労支援センター「リハス」を開設し事業は毎年成長しています。

誰もが支える側になれる社会の追求 

全国でも数少ない、農福連携を行っている就労継続支援B型事業所

当社の社名には「ご利用者さまの真のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上にむけての支援を行う」の使命が込められています。ご本人の希望される人生の質の向上を目標に、医療者側の押しつけではない、個人を尊重した専門的なサポートを提供していく。私たちの行う仕事の根底には、使命への想いがあります。では人生の質を上げるにはどうすればいいのか。この問いの先には、人としての真の自立があるといえるでしょう。
人間の本質的な幸せや、質の高い人生とは何かといえば、人を支える、自分自身が身近な人に必要とされ、貢献できる状態だと私は考えています。ひと言で表現すると、「傍楽(はたらく)」ですね。誰もが支えられる側ではなく支える側にまわることで、真の自立は叶えられるのです。
当社は全国でも数少ない農業と福祉を融合させた農福連携を行う、就労継続支援B型事業所「リハスファーム」を県内で展開しています。2015年に津幡町のハーブ農園ペザンさんが、知的・精神障がいのある利用者さんを受け入れてくださったのが事業の始まりでした。今では20名以上が、ペザンさんで仕事を手伝っています。協力農家さんも年々増え、ご高齢の農家さんからは、農園を引き継いでほしいとお話をいただくようにもなりました。2019年には白山市に「リハスファーム」が誕生し、農作業を通した利用者さんの「傍楽(はたらく)」は、日々実践されています。私たちは「障がいがあっても稼ぐ!」を合言葉に、農家さんと連携して、慢性的な人手不足にあえぐ農業の課題解決に取り組んでいます。
農作業を介して収入を得る喜びを味わい、前向きな生活を取り戻される利用者さんの大部分は、当社サービスを受ける前までは病院や施設に入所されていました。彼らのマンパワーを農業へ派遣させていただく取り組みは、当事者の自立を促し、地域社会を救う試みでもあります。どんな方でも支える側になり、働いて稼いで地域へ貢献していく。従来の「地域が福祉を支える社会」から脱却した「福祉が地域を支える社会」の実現を目指して、私たちは支援を続けています。

目指すは「挑戦できる集団」「挑戦できる個」

医療・介護職は仕事の特性上、利用者さんとの間でWin-Win(ウィン・ウィン)よりもLose-Win(ルーズ・ウィン)の関係を作りがちです。けれども自己犠牲からは、価値あるものは生まれないと私は信じます。まずは全社員の物心両面の幸せの追求を第一に、その上で利用者さん及びご家族の心身両面の幸せと、地域社会の幸せの追求を行うのが当社の土台の価値観です。社内では「自分のQOLが高くないと他者のQOLを高くはできないよ」とよく話していますね。
一人ひとりのQOL向上には、仕事面での充実も含まれるでしょう。個人的に創業時から理想としているチーム像は、「挑戦できる集団」です。挑戦できる個人が集まってくる会社にしたいなあと。私は失敗をマイナスではなく、むしろ貴重な経験とみなします。たとえば挑戦せずして成功した人物と、挑戦した結果上手くいかなかった人物を面接した場合、私ならたくさん失敗経験のある人と一緒に仕事をやりたい。医療・介護職は職業柄、挑戦するぞという気概を持ちにくい面もありますが、何ごとにも皆がチャレンジしていける社風を作っていきたいと考えています。
会社設立以来、当社では社員それぞれの強みを生かした組織作りを実行してきました。各自が弱点を克服するのではなく、長所を伸ばして働けるように、個人の強みを生かしたチーム作りを私たちは心がけています。
当社には正社員・パート含めた140人の社員の中に看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門資格保有者が約70名在籍しています。医療に強い集団ですが、新卒・中途採用どちらも技術ではなく人間性を重視しますね。特に最も大切にしているのは、人生も仕事も他人事ではなく全てを自分事として捉え、楽しく行動できる「圧倒的当事者意識」があるか。そして愛嬌や第一印象の良さ、誠実さなどです。それに加えて、強い願望や挑戦しようと思う気持ちがあれば。当社はいつでもともに挑戦できる仲間を求めています。

地域で確立した医療・ 介護モデルを世界へ発信

厚生労働省の令和元年度「障害者雇用統計情報」によると、現在日本には18歳から65歳未満の生産年齢に該当する障がいを持った方たちが354万人います。そのうち就労しているのは56万人で、およそ300万人が働いていません。このデータは障害者手帳を持つ人を対象としており、引きこもりの方などを含めると生産年齢の無職者は、もっと膨大な数にのぼります。2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、日本の社会保障は危機的状況に近づきます。医療費のかかる入院医療では早期退院、在院日数の減少化がますます進み、国を挙げて、医療費の削減と就労者を増やす政策に乗り出す可能性もあり得るでしょう。
そのような情勢を踏まえて当社は、2020年度中には障がいがあっても働ける「リハスモデル」の構築と多拠点展開を行います。2021年からは、障がいのある人でも稼げる実績を示すデータとエビデンスにもとづき、「福祉が地域を支える社会の実現」のための新サービスを開発して全国展開する予定です。地域に価値ある事業を広げていくためのひとつの手段として、当社は2023年のIPO(株式市場への上場)を目標に掲げています。ただし目的は、あくまでも理念である「社会への価値=皆の幸せ」を土台としたビジョンの実現です。IPOを効率的に会社が成長できる機会として、私たちの成長の起爆剤に活用できることを願っています。
世界で最も早く少子高齢化を迎えた日本は、世界一の ”超高齢化先進国“ といえます。日本人の直面する課題は、そのまま世界の国々の将来的な課題となり、日本で行われていく医療・介護サービスがやがては、先進的なビジネスモデルとなるはずです。だからこそ私たちは、「リハスモデル」を日本中に広めたい。世界中の人々が幸せに暮らせるように、私たちは地域から新しい医療-介護モデルを創造して、世界へ価値を提供していきます。

社員対談

身体の不自由な人や障がいのある人を支援するには、直接手を差し伸べる他にも手段があります。農福連携事業をはじめ、支援のための新たなビジネスモデルを展開する当社の仲間たちに、医療・福祉業界で働く本音を語ってもらいました。

金沢QOL支援センターで働くということ

里出さん この会社では毎日がチャレンジですね。ひとりの人間としてだけではなく、仕事人としてもいろんな経験を積める。当社の理念、使命、目指す目標が達成されることであれば、何でも挑戦できる会社です。


沖田さん 社長や部課長クラスの先輩方には熱いチャレンジャーな人が多いし、周りのサポートも手厚いですね。当社は石川、東京、愛知と全国をまたいで複数の事業を展開しているので、業務内容や勤務地などの選択肢が多く、個人の活動内容も広がるのではないでしょうか。年に数回行われる全社員が顔を合わせる忘年会や事業報告会では、各事業所に在籍しているそれぞれの分野に長けた人の話を耳にしますが、その度に面白い会社だなぁと思います。


山崎さん まだ若い会社ということもあって、私の場合は上司を含めた全員を、自分に近い存在だと感じられます。何でも相談しやすい環境も整っていますし。なので、チャレンジしたいと思ったら、すぐに自分から上司に相談ができる。

沖田さん 仕事のアイデアが浮かんだら遠慮せずに相談できて、「それいいじゃん」って応援してくれる人が自分の身近にいるのは心強いよね。
こういう環境で毎日働けると、やりがいもあるしモチベーションが維持されてすごく良い。私もそれを実感してます。
里出さん IPOを行う会社は有名な企業が多いので、そこに自分たちの会社も名前を連ねられると思うと、僕はワクワクします。みんなはどう?

IPO(株式上場)を目指す会社について

沖田さん 福祉の仕事をしていると、周囲から「大変だね」とよく言われます。当社がIPOを成し遂げることで世間の福祉に対するイメージが変化して、福祉職が人気のある職業になってくれたら嬉しいですね。

山崎さん 私は入社したばかりで、まだIPOについての詳しい話はわかりません。でも実際に取り組むとなると、当社に足りないところはたくさんあると思います。自分が能力面でどのように貢献できるか不安はありますけれど、株式上場に関係する部署にいるので、周りの上司や先輩に頼りながら少しずつでも貢献していけたら。IPOを目指す経験を通じて、私自身も成長したいです。


里出さん 僕は医療職だけれど、IPOプロジェクトチームに参加しています。訪問リハビリの仕事をしながら、未知の分野だった会社の経営に関するプロジェクトにもたずさわるという(笑)。当社の社員だからこそ可能な、珍しい体験をさせてもらっていますね。この経験から、自分はプレゼンをするのも話を聞くのも両方好きだということなど、今まで気づけなかった自分自身の興味や可能性を発見できました。

将来の目標は何ですか?

沖田さん もっと利用者さんの精神のケアをできるように、精神保健福祉士の資格を取りたいです。農作業から一般雇用へつなげるために、知識を身につけて自分の引き出しを増やしたいなと。 他には、農福連携事業を石川県に定着させたいと考えています。リハスファームのような就労継続B型事業所で働く利用者さんが、農業の担い手の高齢化や人手不足に悩む地域に、必要な存在となってほしいですね。


里出さん 僕は人と話すのが好きだから、目の前の人の喜ぶ顔が見たいかな。社員や利用者さん、身の周りの人たちが幸せな状態を作りたい。それが個人的な目標です。
将来的な話で言うと、今後国の財源的に訪問リハビリの予算がカットされ、単価も減る流れです。訪問リハビリ事業を継続するには、その重要性を示していかないと。企業として生き残るためにも、リハビリを必要とする方々に運動習慣を定着させることで、支援のいらない状態へ持っていけるシステムを作れたら良いなと思います。

山崎さん 私は東京で、新規展開の仕事にたずさわりたいです。それと保育士と幼稚園教諭の資格も持っているので、障がいのある児童の放課後等デイサービスも開発したいですね。
とにかく新しいことに挑戦したい。でも利用者さんと一緒に働けるファームも好きだし……やりたいことが多すぎる! まずは会社に慣れてから、色々な仕事に挑戦します。

就活生の皆さんへ、これを伝えたい!

沖田さん 普段人を支える仕事をしているけれど、相手から与えられることもいっぱいあって。福祉職は幸せを感じられる職業だと思っています。
チャレンジを応援し合えるこの会社は、働くっていいなと思える場所です。初めての経験に楽しみを見出せる人に、仲間になってほしいですね。

里出さん 新卒で在宅医療の仕事に就きたいと周りに相談したとき、もう少し勉強してからにすればと入社を反対されました。進路に迷う人には、やりたいことがあるなら、やったほうがいいと助言したいですね。周りの意見も大切ですが、自分の本心を我慢するのは違うと思う。これから就職する人には、「考えるよりも行動」の言葉を贈りたいです。

山崎さん 急成長する会社に入って大変だと感じる瞬間も多々ありますが、早く業務に慣れて、みんなと親しくなりたいですね。
何事にも挑戦できる社風が良くて、みんなが「楽しんで仕事やろうよ」って雰囲気だから、土日でも出社したくなる。入ったら楽しさがわかります! 体験してわかることがあるんです。

里出さん やってみないとわからないよね(笑)。

山崎さん 一度来てもらえたら後悔はさせません(笑)。

沖田さん 素晴らしい締め言葉。


一同 興味を持たれた方は、ぜひ当社に来てください!

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