【ウヤマ産業株式会社】輸送・保管・加工を一体で担う物流サービス

  • 設立 昭和45年10月
  • 事業内容 一般貨物自動車運送、倉庫管理及び物品の仕分け・梱包・開梱、建築資材の加工、倉庫業、発電と電気の供給・販売など。
  • 資本金 8800万円
  • 従業員 240名
  • 本社住所 千葉県野田市目吹2540-1
  • URL http://www.uyama21.co.jp/

情報のやり取りはネットでできても、最後にはモノが動いて経済は回る。そのため輸送業は「経済の血流」にたとえられてきたが、未来を見る輸送会社はモノを運ぶだけにとどまらない。製造やサービスの一翼をも担う新しい物流を確立した宇山嘉一代表取締役に、その拠点を案内していただいた。

モノを運ぶだけではない新時代の物流企業

当社は私の父が、昭和39年にトラック5台から始めた会社です。当初は会社の成長と共にトラックを増やしていったのですが、昭和54年に倉庫事業を始め、昭和60年には加工事業もスタートしました。この「輸送」「保管(倉庫)」「加工」の3つの事業が一体となって、現在の我々のビジネスになっています。

輸送・保管・加工の3本柱が強み

次世代のバトンタッチを視野に、大行の期待を一身に背負う宇山取締役、浅野祐之執行役員

具体的に説明しましょう。たとえば当社で扱っている中で最も多い品物は、とある製造メーカーから預かっている壁紙や床材です。
これらの色や模様は、製造メーカーが巨大な印刷機を回してプリントしています。印刷工程を終えたそれは、数メートル×数百・数千メートル単位で、巨大なロール状に巻かれた状態になっています。 しかし、プリントを終えた直後の壁紙や床材はまだ塗料が安定しておらず、そのままでは出荷できません(すべての製品ではありませんが…)。材質や塗料などにより決められた温度・湿度で数日間かけて、ゆっくり乾かす(エージングと言います)必要があるのです。
かなりの大きさ・重さがありますから、移動にはフォークリフトのような機械が必要です。また、ロール状に巻かれた壁紙や床材は、端を少しぶつけただけでも相当部分が欠損してしまいますから運搬にはプロの技術が要るのです。
さらに、完全に出荷できる状態に仕上がった壁紙や床材は、どこかにストックしておかなければなりません。壁紙・床材は何千種類もあり、在庫として用意しておかなければならない量も相当に及びます(ビルやマンションにどれだけの壁紙や床材が使われているか、想像してみてください)。しかも、注文が入ればその都度棚から下ろして、お客様のオーダーに応じた大きさ・長さにカットした上で、指定の場所に届けなければならないのです。
日頃、何気なく目にしている壁紙や床材ですが、印刷を終えて製品となった後にもこれだけの工程があるのです。もし、エージングも在庫保管もスリットも別々の作業所や倉庫で行うとかなり効率が悪いですし、距離を移動するほど商品が欠損するリスク及び時間・輸送コストもかかります。
そこで当社は、印刷を終えてロール状に巻かれた壁紙・床材を製造メーカーより引き取り、自社内でエージングを施してそのまま倉庫に保管します。インテリア会社が顧客から注文を受けたらそれを伝えてもらい、自社内で指示通りにカットして自社のトラックで届けるというサービスを提供しているのです。

自動ラックにより効率化された保管システム

壁紙・床材を保管しているのは、当社自慢の自動ラック倉庫です。
ロール状に巻かれた壁紙・床材は「パレット」と呼ばれる台に積んで棚に保管してあり、必要に応じて出し入れします。以前はフォークリフトが主力だったのですが、それだと積み下ろしできる棚の高さに限界がありますし、棚と棚の間には車両が走行・旋回できる幅の通路が必要でした。
オーダーが入るたびにフォークリフトが入っていき、棚からパレットを下ろして積み下ろし場まで持ってきて、必要本数を下ろしてまた元の棚に戻すという作業を繰り返していたわけです。狭い倉庫内で車両を上手に取り回し、効率よく運転できる技術を身につけるまでには月日を要します。
しかし、自動ラックを導入したことで、現在は作業員が入力するだけで、機械が素早く目的のパレットを引き出し、積み下ろし場所まで運んできます。必要本数を取り出せばパレットはボタン一つで元の場所まで戻っていきます。
棚は倉庫の天井付近まで設置でき、通路も3分の1以下に詰めてスペースを有効に活用できるようになりました。在庫はコンピューターで24時間管理・運用し、省エネも格段に進みました。
こうした自動ラック倉庫が現在当社には全5棟8432棚あるのですが、これが満載になっています。近々新しい倉庫を建設する予定ですが、それでもすぐに満杯になってしまいそうな旺盛な需要があります。

アパレル倉庫にも旺盛な需要

壁紙・床材以外の取扱品としては、たとえばアパレル製品があります。具体的にはサービス業や金融機関で使われている「制服」です。日本全国に支店網がある企業ともなると、何万~何十万人という人が同じ制服を着ます。同じといってもサイズは様々ですし、標準服/夏服/マタニティ仕様などのバリエーションもあります。
我々は製作したアパレル会社から制服を一括して預かり、不良品はないか針が残っていないかなどの検査をしてストックしておきます。そして企業側で制服が必要になれば、要請に応じて必要なサイズや着数をセットにして支店に発送するのです。
制服は貸与品ですから、退職・休職で返却されると当社のアパレル倉庫に送られてきます。我々は傷み具合をチェックして、クリーニング業務を行い、また必要があるまで保管します。従来こうした仕事は総務部が担ってきたことですが、最近はアウトソーシングして効率化を図る企業が増えています。我々のアパレル倉庫も満載で、新たに施設の増設を計画しています。

付加価値を提供して業績が安定

近年、輸送業界の多くが非常に厳しい経営環境にあることを、皆さん見聞きされたことがあるかもしれません。恐らく皆さんにいちばん身近な輸送業は、宅配便だと思います。ネット通販の伸びで配達件数は飛躍的に増大しているのに、送料無料などのサービスが浸透して運賃は上げられない。ドライバーの労働環境は厳しく、人手不足で現場は混乱が続いています。
輸送を依頼する側の企業(荷主と言います)も熾烈な競争を繰り広げる中で、どうしてもコストを削らざるを得ない。モノを運ぶだけの企業は、荷主の提示する厳しい条件を飲まざるを得ないのが実情です。
しかし、当社はそうした過当競争に巻き込まれずに経営・成長ができています。理由は2つあり、一つには取り扱う荷物の分野がBtoC(企業→消費者)やCtoC(消費者→消費者)ではなく、長期契約したBtoB(企業→企業)で受注が安定していること。もう一つは先述の通り、輸送・保管・加工まで一貫した体制で仕事を請け負っているからです。
荷主側の企業からすれば、輸送だけでなく保管や加工も含めて当社に発注することで、業務の大幅な効率化ができています。下請けではなくパートナーになることで当社は安定的な契約を獲得し、強固なWin・Winの関係を築いているのです。
当社の方針として、倉庫だけ利用したい/加工だけして欲しいという仕事のみならず、当社と契約する企業には加工・保管・輸送といった付加価値のあるサービスを提供していきたいと考えています。これだけの物流システムと設備のある企業は、全国にも数えるほどしかありません。

新時代の物流の担い手になる

過当競争に巻き込まれず安定した受注を獲得することで、当社ではトラック輸送の品質向上に経営資源を振り向けられます。具体的にはドライバーの待遇改善です。 現在、わが国の輸送業界は、トラックドライバーの不足が深刻な問題になっています。輸送業は「経済の血流」であるはずですが、このままでは〝血行障害〟が起きてしまいます。国は規制緩和で連結トラックや隊列走行の実証実験を行ったり、メーカーと協力して自動運転の導入も模索していますが、これが実現するのは少なくともまだ数年は先になるでしょう。
ドライバーの不足に困っているのは当社も例外ではなく、即戦力となる人材の確保が急務です。そのため当社が取り組んでいるのは、たとえば完全週休2日制の導入です。これは次世代を担う若い取締役が積極的に動き、月9日、年間休日112日と完全週休2日制まで、あと一歩のところまで実現しました。また、輸送業にとって「安全」はすべてにおいて優先すべき事項ですから、ドライバーを始めとした従業員の健康管理には万全を期しています。
こうした取り組みが認められて、当社は経済産業省から2017年度の「地域未来牽引企業」に選定されています。いま輸送業は新時代への移行期にあって、旧態依然とした会社と、いち早く新しい事業形態に取り組む会社の二極化が進んでいます。当社は、最新技術の導入と人を大切にする経営で今後も安定的に成長し、地域や社会に貢献していきます。

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